拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 孔明 鳳統 劉備
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」
その目が鋭さを帯びる。
そこで唖然としていた料理人のおじさんが、ご主人様を見てひっ、と後ずさった。
「火の管理がなってない。仮にも料理人だろう? なんで火元そのままで厨房から離れた。火事の責任は重いぞ」
「も、もうしわけ……ございません」
「悪いが営業は停止。親父さんを事情聴取。連れて行ってくれ」
「はっ!」
警官の一人が、料理人のおじさんを立たせて連れて行こうとする。
おじさんの肩を落とす姿に、思わず声がでる。
「ご、ご主人様!」
「桃香。その先は言うな」
ご主人様の鋭い目が、私に向けられて何も言えなくなる。
うん、わかる……わかるけど……
「すまないが、他の警官は事後処理を頼む。鎮火は確かめたが、隣の家などの被害までは詳しく見ていない。報告書は城に頼む」
「了解しました!」
警官が、数人店の中へと入っていく。
その他の警官は、周囲の人の整理などをはじめた。
「桃香、いくよ」
「あ……うん」
ご主人様に連れ添って、その場を離れる。
しばらく大通りを歩くと……ご主人様はぽつりと呟いた。
「……あの親父には、火事の責任をとってもらわなきゃな」
その言葉に、私が顔を上げる。
「ご主人様! まさか、あのおじさんに懲罰を……」
「そりゃそうだろ。自分の店……しかも火元の管理を怠って、火事を起こしたんだ。当然、懲罰は受けてもらうさ」
ご主人様の言葉に、私は血の気が引くのを感じる。
この漢中で、放火や火の不始末による火事を起こした当事者は……死刑。
これは大陸中、どこでも同じな重い罪。
それは火事が……本人のみならず、その他大勢の命を奪いかねない事だから。
「………………」
「……桃香。君は為政者だ。人には厳罰を課さなきゃいけないこともある。上が迷うと、下は更に混乱する。躊躇はするな」
「………………うん」
わかってる……
「……火事ってのは、本人以外の人の命を簡単に奪うんだ。火の扱いは十分気をつけなきゃならない。その意識が足りなかったってことだ」
「………………うん」
「今の消防技術じゃ、すぐに鎮火できない。水を汲んで、消火するのだって一苦労だ。その上、周りの延焼を防ぐような家屋の取り壊しだって、警官だけじゃ人手が……ひとで?」
ピタッと、足を止めるご主人様。
???
「…………………………なるほど。その手があった」
「え?」
「……桃香、街の人に自ら街を守ってもらおう」
「え……? なんかさっき、ダメだとか……」
「ああ、治安ではなく防災でね……よし、作るか」
「……なにを?」
私の言葉に、ニヤリと笑うご主人様。
その顔はよく見る……ご主人様が閃いた時
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