拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 孔明 鳳統 劉備
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……で、食べていらっしゃるようですが、お口に合わなかったので?」
「いんや? いろいろ惜しいという感じではあるけど、料理人としてはそこそこだな。できればもう少し香辛料や、唐辛子を増やすとか料理に特徴をつけるといいとは思うけど」
あわわわ……
ご、ご主人様、凄い度胸。
「ほほう……では、お客さんは俺よりも旨いものが作れると?」
「うーん、俺が作っても本職にはかなわないかな。でも、助言なら出せるよ? 例えば……こんな風に」
そうして私の眼の前に置かれた、麻婆かけご飯を手に取る。
その料理に、料理人の眉がぴくっと動いた。
「あんたも料理人なら、日々研鑽を怠らないことだね。旨いものを作り続ければ、客ってのは増えるもんさ」
「ほほう……」
料理人のおじさんが、ご主人様を睨む。
でも、ご主人様は、素知らぬふりでご飯を食べている。
あ、あわわ……だ、大丈夫かな。
なんかおじさんの方は、背中から炎が出そうな勢いなんだけど。
ほら、なんかこげくさいし……
……あれ?
「て、てててんちょー! 火、ひぃ!」
女給の人の叫び声がする。
そちらを見てみれば……
「あっ!」
「火事だ!」
厨房が燃えていた。
「火をつけたまま厨房離れたのか!」
ご主人様がすぐさま厨房に飛び込んでいく。
「ちょ、ご主人様!」
「まずい、外に出ろ!」
料理人のおじさんと、給仕の女の人に外に連れだされる私。
「ご主人様! 逃げて!」
店の外に出ると、店から大量の煙が……
周囲では警官を呼ぶ声と、避難する怒号が聞こえる。
私は厨房にいるご主人様に、再度声をかけようとすると……
「お、おい、煙が……」
周囲の人が騒ぎ出す。
目の前の菜館から昇っていた煙が徐々に少なく……
「ふう……もう大丈夫。火は消したよ」
中からご主人様がゆっくり出てきた。
「ご主人様!」
私はその無事な姿に、ご主人様の胸に飛び込む。
よかった……無事で。
「おいおい……こんなの平気だって。いつもの『アレ』ですぐ消し止めたよ。まあ、後始末が大変だろうけど」
アレ……?
あ、ご主人様の業!
「火事は何処だ!」
その時、警官の集団がこちらへ走ってくる。
そして私とご主人様を見ると、全員揃って敬礼した。
「こ、これは劉玄徳様に、御遣い様! ご無事でしたか!」
警官たちが綺麗に敬礼する姿に、周囲の人たちの目が丸くなる。
その様子に、ご主人様は私を離して敬礼を返した。
「ご苦労さん。火は消し止めたよ。厨房は氷に覆われているから、片付けるなら砕くか溶かしてくれ。それよりも……親父さん
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