拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 孔明 鳳統 劉備
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―― 盾二 side 漢中 ――
俺が漢中に戻ってから、数日の時が過ぎた。
「だから、今ある外壁を取り壊すことはしないでいいんだ。年輪のように重ねればいい。そうすれば一番内側を第一層、その外を第二層という形で広げるのが一番コスト……費用が掛からない」
俺の言葉に朱里が、顎に手をやりながら思案している。
「そうしますと内門は……大通りに面しての東門と西門を新たに設置することになりますね」
「その部分はしょうがないな。だが、その工事は第二外壁が出来上がってからでいいだろう」
「拡張するとなると、大量の石や土が必要になります。どこから調達しましょうか?」
「南の大手門の丘を切り崩して平地にする。その土で外壁を新たに作ろう。費用、時間、手間においてそれが最善だろう」
「建設に関する木材は、西の森の木々を伐採することになりますけど……」
「水源のこともあるから、近くの森を切り崩すのは賛成出来ない。少し費用はかかるけど、定軍山北東側の沼地がいいだろう。報告では、あの辺りは水はけが悪くて、泥水もたまりやすい。いっそ、あわせて開墾もしてしまうか」
「盾二様のお陰で資金には十分余裕がありますし……あの場所を新たに開墾できれば更に食料に余裕ができますね」
「水においてもあの辺なら問題はないから、田んぼには最適だろう。早速、新しい開拓邑の草案を頼む」
「御意!」
朱里や雛里がいる宰相の執務室。
その大きさは、ちょっとしたホール並みの広さがある。
だが、持ち込まれた大量の竹簡と、幾つものテーブル。
そして様々な関係書類や地図の数々などが置かれ、整理係の簡雍と文官数人が整理に追われている。
今、俺が居るのはその中央の大テーブル。
そこに広げられた地図の上に、細かい駒と事細かに書かれた竹簡が置かれていく。
このテーブルを埋め尽くす地図。
これこそ漢中の極秘資料ともいえる、漢中周辺の詳細に調べあげた地図だった。
「盾二様……準備出来ました」
「ありがとう、雛里。朱里、後は頼む」
「御意」
内政面は朱里に任せて、雛里のいるもう一つの大テーブルに向かう。
こちらは、軍事面の最高機密だ。
「さてと……こっちは軍の状況か。現状の兵は一万二千だったな」
並べられた大小様々な駒。
その上には色分けした上に数字が書かれている。
「はい。内訳ますと、愛紗さん率いる第一軍。こちらが三千になります。主に漢中防衛の要になるかと思います。元義勇軍の兵も半分がこちらになっています」
「愛紗の第一軍は、首都防衛と桃香の近衛という役割もある。その他にも警官の統率なども出来るような管理の面でも高い資質を集めてあるな?」
「はい。いざというときは兵を
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