第三十一話 オーベルシュタイン、お前は頼りになる奴だ
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小さい、シトレが上手く立ち回った。
帝国で内乱が起きれば同盟はそれに乗じて軍事行動を起こす可能性が有る。それを避けるためにリヒテンラーデ侯を通して同盟側に捕虜交換を持ちかけている。内乱終了後に捕虜を交換しようといっているんだが今の所同盟側の感触は悪くないらしい。
もっとも何処まで信用できるか怪しいところだ。最高評議会議長にはトリューニヒトが就任したからな。信義とか節操なんて言葉とは無縁の男だ。油断していると足を掬われかねない。同盟が帝国領に侵攻してくる可能性は十分に有る。昨年の帝国領侵攻作戦において帝国軍は原作ほど大きな損害を与えられなかった、それが響いている。
辺境鎮圧にはメルカッツが赴く。副司令官にレンネンカンプ、他にルッツ、シュタインメッツ、シュムーデ、リンテレンが同行する。合計六個艦隊、兵力は八万隻を超えるだろう。どんな事態にも対応できるだけの兵力と指揮官を用意した。大丈夫なはずだ。
それにしても敵だらけだな、貴族連合、リヒテンラーデ侯、エーレンベルク、シュタインホフ、そして同盟軍。それにラインハルトも居るか……。誰もが皆俺を潰したがっている。ここまで来るといっそ爽快だな、叩き潰す敵には不足しないし容赦する必要も無いという事だからな……。
そろそろオーベルシュタインにも指示を出しておくか。オーベルシュタインを呼ぶと直ぐに血色の悪い顔を執務室に出した。こいつ、未だ犬は飼っていない。
「オーベルシュタイン准将、おそらく来月、遅くとも四月には帝国で内乱が起きるだろう」
「はい」
「卿はオーディンに残る」
オーベルシュタインが頷いた。
「リヒテンラーデ侯、エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥の動きを見張れば宜しいのですね」
「他にも有る、リヒテンラーデ侯に味方した貴族達を調べ上げる事。一族、或いはそれに準ずる者。積極的に味方した者、已むを得ず味方したが力の有る者、已むを得ず味方したが無力な者……」
「承知しました」
オーベルシュタインが平静な表情で頷いた。流石だな、俺は処刑リストを作れと言ったんだが眉一つ動かさない。こういう時は助かる、キャンキャン騒がれると自分の非道さを責められているようで嫌になるからな。さてマリーンドルフ伯爵家は何処に分類されるか、……生き残れるかな、ヒルダ。
「私からは以上だ、質問は?」
「奥様の事は如何しますか? 護衛を増やすか、或いは安全な場所に避難させるか……」
「その必要は無い、内乱が起きればオーディンにはリヒテンラーデ侯の味方しかいなくなる筈だ。私がリヒテンラーデ侯を用心する必要は何処にも無い、違うか?」
「……承知しました」
「他には?」
「有りません」
「では下がってくれ、私は少し考えたい事が有る」
口外無用とかそんな阿呆な事は言わなかった。言
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