第三十一話 オーベルシュタイン、お前は頼りになる奴だ
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なあ、下手に動くと俺の首が飛びかねん。最初は政治的に、次に物理的にだ。そして俺の代わりはメルカッツだろう。貴族達は恐れているのだ、平民の台頭を、平民が力を持つことを。だから俺に対して猜疑の目を向けてくる。
政治的な信頼関係など欠片も無い以上、利用出来る間は利用しろ、やられる前にやれがセオリーだ。リヒテンラーデ侯と組んでブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を潰した後は間髪いれずにリヒテンラーデ侯を潰す。帝国の内乱劇は二部構成になるだろう、油断は出来ないし、失敗も出来ない。そのためには出来るだけ相手を油断させなければ……。
ドアをノックする音が聞こえた。ドアが開きヴァレリーが姿を見せた。
「御要談中申し訳ありません。ミューゼル少将、キルヒアイス少佐がお見えですが」
「分かりました。執務室に行きます」
来たか……、メックリンガーを伴って執務室へ向かった。
俺とメックリンガーが執務室に入ると二人が敬礼で迎えた。俺とメックリンガーもそれに応えた。
「ラインハルト・フォン・ミューゼル少将です。宇宙艦隊司令部への配属を命じられました」
「ジークフリード・キルヒアイス少佐です。同じく宇宙艦隊司令部への配属を命じられました」
二人とも表情が硬い、緊張している様だ。或いは面白く無いのか。どっちも有りそうだ。
「卿らの宇宙艦隊司令部への参加を心から歓迎する。言うまでも無い事だが帝国は現在内乱の危機に揺れている。内乱が起きれば宇宙艦隊は早期に鎮圧しなければならない。卿らは司令部幕僚として内乱の早期鎮圧に努めよ」
「はっ」
「私の元帥府に入るか否かは卿らの判断に任せる。以後はメックリンガー総参謀長の指示に従うように」
「はっ、宜しくお願いします」
「うむ、こちらこそ宜しく頼む」
ラインハルト、キルヒアイスが頭を下げるとメックリンガーが答えた。そして三人が部屋を出て行った。
正直ラインハルトを司令部に入れるのは迷った。だが辺境に置いておくのは危険だろう。ラインハルトの事だ、内乱が起こったら武勲を上げる機会とばかり勝手に動き出すのは目に見えている、何をしでかすかさっぱり予測がつかん。それならいっそ司令部に入れた方が良い。元気の良すぎる犬に首輪を付けて犬小屋に押し込むようなものだ。
問題は同盟だな、同盟がどう動くか……。連中は遠征失敗の衝撃から徐々に立て直しを図りつつある。ドーソンは退役した、シトレも同様だ。そして統合作戦本部長にはクブルスリーが就任している。後任の第一艦隊司令官にはラルフ・カールセンが就任した。
不思議なのは遠征に参加した将官達で左遷された人間が居ない事だ。どうやらシトレが自分の首と引き換えに庇ったらしい。そしてイゼルローン要塞にはウランフが要塞司令官兼駐留艦隊司令官として赴任している。思ったより混乱が
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