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魔王の友を持つ魔王
§51 あとしまつのあとしまつ
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 アテナに話を振れば。

「妾にそんなことを聞かれても、な。第一妾は戦の神だ。闘争に明け暮れてきた妾に悠長にしている暇などない」

 その言葉で、恵那は思い出す。ここに集っている存在の大半が歩く天災だということを。

「れーとさんごめんなさい。れーとさん、ちゃんと被害出さないよーに、頑張ってたんだね?」

「……うん。その返しはなんとなくわかってた」

 わかっていても、災害達(コイツら)と一緒にされるのはなんか嫌だなぁ、などと思う。

「はぁ」

「これだけ慕う娘がいる状況下でため息、か。幸せが逃げるぞ?」

「えぇい、誰のせいだ誰の!!」

 アテナに怒鳴ってから、思い出す。首都圏をズタボロにしたのは誰だったのかを。

「……災害指定もやむなしだろう」

 思考を読んだのか、的確な指摘をしてくるアテナ。天災(かみさま)に災害指定されるのは屈辱だった。


●●●



「……あれは、一体」

 アレクサンドルは、カフェの片隅で思考する。黒髪黒目、凡庸な顔立ちの少年のことを。

「あの脳筋女の知り合いで、かつ引き籠り女とも知り合いだと」

 そういえば剣馬鹿(ドニ)も執着していたな、などと思い出す。だが女二人はドニとは訳が違う。双方ともに俗世と滅多に関わらないことで有名だ。そして、どちらともに動けば大事になる。あの二人と誼を結ぶなど、数年程度で極秘裏に出来るとは思えない。

「しかも、お義兄様、ときたか」

 その言葉が意味するのは、羅濠教主よりあの少年は年上である、ということ。古参のカンピオーネすら比較にならないキャリアを積んでいるのか。

「今まで見つからなかったカンピオーネだとでもいうのか? 何故、今になって姿を現した?」

 ランスロットの乱入。アテナとの共闘。両者ともに黎斗のことを知っているようで。

「…………やはり探るしかない、か」

 限りなく危険な事に変わりはないが、黎斗本人を調べるしかない。おもむろに、携帯電話を取り出す。

「アイスマン。悪いが古き王、という言葉とディスペルロード、という言葉を調べてくれ」

 自分でも調べるが、手は多い方が良い。探す対象は古今東西の歴史書だ。おそらくその中に類似単語がある筈。そして。

「今までに出現したカンピオーネの能力で、「神を操る」というものがあったか。これも頼む」

 光線や炎は今までのカンピオーネにいたかもしれない。だが、神を従えるものははたしていたのか。

「俺は魔術師名鑑をひっくり返して、探すことにする」

 そう言い残して、アレクは姿を消す。コーヒー代を机の上に残して。
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