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魔王の友を持つ魔王
§51 あとしまつのあとしまつ
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良いのか?」

 直感で分かった。アレはヤバい。まず間違いなく、黎斗にとって厄介な存在になるだろう。そんな存在に黎斗の情報を流したうえで生還させて良いのか。そう目で問いかければ。

「良いんだよ」

 老神はそう言って、笑う。

「だいたいここでドンパチやってみろ。媛さん達を庇いながら戦うのは、無理だ」

 ここで交戦すれば、須佐之男命や護堂は無事でも、黒衣の僧や玻璃の媛は無事では済まないだろう。ヴォバンを葬る頃には十中八九、二人の命は無い。とすれば、ここは黙って見送るしか選択肢は無く。

「……無力、って悔しいな」

 脱力して、床に転がりながら言葉が零れ落ちていく。友に助けてもらったことは数あれど、その逆は無し。そんな事実が護堂の心に重くのしかかる。最強の魔王と呼ばれ畏れられても、実際蓋を開けてみればただの無力な学生でしかない自分。

「そう悲観するな。お前と黎斗が戦って黎斗が全勝する、なんて展開はねぇよ。九割九分九厘ヤツが勝つかもしれんが、お前の勝ち目はゼロじゃあない。んで、天文単位の彼方に勝ち目が転がっていようとも、僅かでもあるなら拾いに行けるのが魔王(おまえら)だろう」

 それは事実だろう。黎斗のあのぶっ飛んだ権能を見てもなお、護堂は必敗とは思わない。限りなく難しいとは思うが、勝負はやってみなければわからない。そう思う。だが、これは別だ。

「黎斗より強い、とか黎斗に勝てる、とかじゃないんだよ」

 黎斗は義姉(きょうしゅ)を下し、好敵手(ドニ)を倒し。まつろわぬ神(てき)達を倒した。だが、自分はどうだ。今回、一体何をした?

「やったことは義姉さんの暴走を止めて、ここで茶飲んだ位だ」

 羅濠教主と戦って、判定勝ち。羅濠教主の名代として、義弟となりヴォバン侯爵と戦う羽目になり須佐之男命と組んで引き分け。しかも引き分けとは名ばかりで実際は対峙しただけだ。

「くっそ……」

 自分が何をなすべきか、何が出来るのか。それが、護堂の中を駆け巡る。



●●●



「姉弟ぉ!?」

 黎斗は吃驚して言葉が出ない。教主の弟が護堂って何だ。とりあえず、三馬鹿の意識を刈り取って、最初から今回の事態を把握しようとしたら、コレか。

「此度の件、元々は私が猿侯を誅罰するつもりでおりました」

 羅濠教主が黎斗の存在を認識、それに伴い彼女は標的を大聖から黎斗に変更。

「んで、翠蓮の代わりにヴォバン侯爵が大聖を復活させようとする。事情を知った護堂が止めに行こうとする。翠蓮は自分が蚊帳の外で事態が進むことに納得できない。護堂の代わりに行きたいけど行けないジレンマ。名代で護堂を行かせることにして護堂を義弟にする、と」

「おおむね」

 頷く教主に問い
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