妖精たちは風の中
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「大火大蛇!」
炎の大蛇が影を全て燃やし尽くした。
ナツは不満げに魔法を発動したアルカを見る。
「おい、手ぇ出すなっつっただろ!?」
「だから『本体』には何もしてねぇよ。俺が倒したのは『魔法』。獲物は残ってるだろ」
ナツは少しの間呻き、頷いた。
そしてニッと笑い、右手に炎を纏い、カゲヤマに向かっていく。
「だりゃあっ!」
「がっ!」
倒れたカゲヤマの首根っこをすかさずナツは掴み、雄叫びと共に壁にぶち当てる。
そしてそこに咆哮を放った。
その衝撃音は駅全体に響く。
「かっかっかっ!俺の勝ちだな!約束通りエリゴールの場所言えよ」
「くくく・・・バカめ・・・エリゴールさんはもうこの駅にはいない・・・」
「は?」
「意味解らねぇな」
首を傾げるナツとアルカ。
「ナツー!アルカー!それ以上はいい!彼が必要なんだ!」
「うお!?何だ何だ!?」
「俺ァ何もしてねーぞ?」
「でかしたクソ炎!」
「お手柄だよ、さっすがナツ!」
「何だよ3人して・・・これくれー何ともねぇよ」
状況が理解できないナツ。
アルカも同様に首を傾げるばかり。
「説明してる暇はねぇが、そいつを探してたんだ」
「私に任せろ」
そう言うが早いが、エルザは左手に剣を持ち右手でカゲヤマの胸倉を持って無理矢理立たせ、その顔に剣を近づけた。
「四の五の言わず魔風壁を解いてもらおう。一回NOという度に切創が1つ増えるぞ」
「う・・・」
ナツにコテンパンにやられ、目の前には怒りを露わにしたエルザ。
そんな状況で抵抗出来る訳が無い。
「おい・・・そいつァ、ナツにボコボコのボロボロにされてんだぞ」
「いくら何でもそりゃヒデェぞ・・・やっぱりエルザは危ねェ!」
「黙ってろ!」
「今はそんな事どうでもいいんだ!」
事情が呑み込めない2人をグレイとルーが一蹴する。
「いいな?」
「わ・・・わか・・・ばっ!ぶ・・・」
「解った」と言い終える前に、カゲヤマの口から言葉ではなく血が飛び出る。
倒れ込むカゲヤマの背中には、短剣が刺さっていた。
その背後の壁にはカラッカ。
彼はビアードから「簡単な仕事」を頼まれたのだ。
「カゲヤマを殺す」という・・・。
「カゲ!」
「そんなぁっ!こんな事って・・・!」
「お、おいっ!お前、大丈夫かっ!?」
「くそっ!唯一の突破口が!」
慌ててエルザが倒れ込むカゲヤマを支え、そこにグレイとルー、事情は知らないが危険だと察知したアルカが駆け寄る。
その中でナツは1人、呆然と立ち、その様子を見ていた。
「ちくしょオォ!」
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