妖精たちは風の中
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う。
「!」
それを目で捉えると、グレイは右手を前に出す。
その手から長方形の大きな氷が現れ、紐を防いだ。
「氷!?へぇ」
「テメェ等の本当の目的は何だ?」
「放送機器を躊躇なく壊すって事は、放送が目的じゃないでしょ?」
「そろそろエリゴールさんの『魔風壁』が発動する頃だな」
「魔風壁?」
黒い紐がレイユールの手に戻り、氷が消える。
「貴様等をここから逃がさねぇ為の風のバリアさ」
「何!?」
「嘘!?」
一方その頃、エルザは驚きで目を見張っていた。
「こ、こんな事が・・・」
エルザの目に映ったもの、それは・・・。
「駅が風に包まれている!」
そう、風に包まれた駅だった。
その風も微風などという様な軟なものじゃなく、台風並みに強い風だ。
「ん?なぜ妖精が外に1匹・・・そうか・・・野次馬共を逃がしたのはテメェか。女王様よォ」
「エリゴール!」
声を掛けられ振り返ると、エリゴールが空を飛んでいた。
「貴様がこれを!?」
「テメェとは1度戦ってみたかったんだがな・・・残念だ。今は相手をしてるヒマがねぇ」
そう言うとエリゴールは手をかざす。
強い勢いの風がエルザを吹き飛ばし、風を纏う駅に突き飛ばされた。
「エリゴール!」
怒りを露わにして風に向かって走るエルザだが、バチィッと音がして見事に跳ね返された。
風に切り刻まれた右腕からは血が流れている。
「やめておけ・・・この魔風壁は外からの一方通行だ。中から出ようとすれば風が体を切り刻む」
「これは一体何のマネだ!?」
「鳥籠ならぬ妖精籠ってところか・・・にしてはちとデケェがな。ははっ」
バカにしたように笑うエリゴール。
「テメェ等のせいでだいぶ時間を無駄にしちまった。俺はこれで失礼させてもらうよ」
「どこに行くつもりだ!?エリゴール!話は終わっていないぞっ!」
だが、返事はない。
「一体・・・どうなっているんだ・・・この駅が標的じゃないというのか!?」
ゴッと痛々しい音が響く。
グレイの膝がレイユールの顎辺りに決まったのだ。
そのままレイユールは凄い勢いで吹き飛ばされていく。
ルーの操った風によって、勢いがついたのだ。
「ややこしい話は嫌いなんだ」
「何がどうなってやがる!」
「計画に想定外の妖精が飛んで来た。だから閉じ込めたってだけの話だ」
流れる血を拭いながらレイユールが答える。
「本来この駅を占拠する目的はこの先の終点、クローバー駅との交通を遮断する為だ」
「!?」
「でもあの街は大渓谷の向こうにあるから列車以
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