第五十二話 重力の剣その九
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中田はオムレツを食べながらワインを飲みつつ二人に話した。
「どうだった?」
「はい、美味しかったです」
「とても」
これが二人の感想だった。
「オムレツの中にハンバーグですか」
「これっていいですね」
「何かもう一枚欲しくなる感じで」
「私もです」
「ああ、もう一枚ずつな」
中田は二人の言葉に笑って返した。
「いいぜ、それはな」
「できるんですか」
「そちらも」
「実は昨日ハンバーグを作ってな」
話はそこからはじまっていた。ハンバーグがあってこそだった。
「それが多過ぎたんだよ。ただハンバーグを食うだけじゃなくてな」
「オムレツにも包んで、ですか」
「作ってみたんですね」
「オムレツって本当に色々なんだよ」
フランス料理の基本と言われているのは伊達ではない、その種類もかなりのものがありそのハンバーグが中に入っているものもだというのだ。
「こういうのもな」
「ううん、そうですか」
樹里は中田がキッチンに向かうのを見ながら言った。
「じゃあ今度」
「あんたも作ってみるかい?」
「そうしてみようかって思ってます」
「じゃあそうしてみなよ。美味いからな」
中田は赤いエプロンを身に着けながら樹里に答える。
「今食べた様にな」
「はい、そうしてみます」
「味がいいからな」
中田が薦める最大の理由はそこにあった。
「あんたも作ってみたらいいさ」
「そうしてみます。他には」
「その他には、オムレツだな」
「はい、他のオムレツを作ってみてもいいですよね」
「オムレツってバリエーションが豊富だからな」
中田自身もこう言う。オムレツといっても一つではないのだ。
それで彼は樹里、そして上城にこうも言った。
「色々作ってみて食ってみるといいさ」
「じゃあ上城君」
樹里は中田の話を聞いてすぐに上城に顔を向けて言った。
「今度作ってみるから」
「それで食べさせてくれるんだ、僕に」
「私は中田さんみたいにお料理上手くはないけれど」
「いや、村山さんだって上手じゃない」
「そうかしら」
「うん、上手だよ」
上城は自分の言葉に自信なさげな顔になる樹里に笑って述べる。
「その卵を使ったお料理だってね」
「ええと。卵焼きとか?」
「そう、あれいつもお家で作ってるじゃない」
「お父さん達が好きだから」
彼女の父と弟である零の好物なのだ。もっと言えば樹里自身も卵焼きは好物の一つである。、
「作ってるけれど」
「あれ美味しいから、凄く」
「そう。だったら」
「うん、オムレツもいけると思うよ」
「オムレツは卵焼きと違うけれど」
「それでもいけると思うよ」
「そこまで言うんだったら」
樹里も話に乗った。そうしてだった。
彼女は上城の言葉も受け入れてそ
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