第五章 StrikerS編
第百四十二話 『嵐の前の日常風景(裏)』
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は、確かに戦闘機人であり、人であって人ではありません。
だからこの胸の痛みもなにかのミスなのかもしれません。
だけど、セッテは特に気にした感じも見せずに、
「はい、すみませんトーレ…」
やはり機械的に頭を下げていました。
「ほかの妹たちは動作チェックを終えて機体洗浄でもしている頃だろう。
どうだ…? 親睦を深めてきたらどうだ?」
チンク姉様がそう言いますが、
「ありがとうございます。ですが空戦シムの実行を優先したく」
「…そうか。まぁ頑張れ」
「はい。では失礼します」
それでセッテは部屋を出て行きました。
「あれもまた少々変わった子だな」
「我々の開発コンセプトを思えば、あれが一番完成度が高いとも言える。
余分なものはなにもない、純粋たる戦機だ。
…だが、ただの機械では頭部に脳が詰まっている必要もない。
だから少しは考えることを覚えさせるさ」
「作戦決行まであと四日はあるものな」
私は思い切って聞いてみることにしました。
「………トーレ姉様」
「ん…?」
「………チンク姉様」
「どうした、トレディ…?」
「………私は、恋というものをしたという事は、兵器としては欠陥品なのでしょうか…?」
トーレ姉様のいう開発コンセプト。
それから逸脱したものは当然欠陥品として見なされてしまいます。
それで私は自分でも考えられないほどに胸の痛みを感じてしまいました。
だけどそこでチンク姉様が私より低くて足りない背でなんとか背中をさすってくれました。
「…安心しろ、トレディ。我々にも心はある。
だからそんな感情があっても誰も否定はしない。
お前のれっきとした気持ちなのだから大事にするんだ」
「そうだぞ。確かに私達は戦う兵器…戦闘機人だ。
だが完璧な兵器になれなどともドクターは一言も言っていない。
だからお前もその胸の痛みを抱えていけ」
「!………トーレ姉様、気づいていたのですか?」
「あぁ。お前は一見無表情だが、だがそれでも感情の波は常に変動している。
機械的ではない。
ただ、どう表現すればいいのかわからないのだろう?」
「………はい」
「これからお前ももっと成長していけば、考えや表情も豊かになっていくだろう。
その時まで我々がお互いに生きているのかはわからないがな」
そう言ってトーレ姉様は少し暗い笑いをする。
そうです…。
私達はこれから最大のテロ行為を起こすことになります。
それで、もしかしたら誰かが負けてしまうかもしれません、欠けてしまうかもしれません。
私はこの知識にある家族というものとは少し違いますが、それでも信頼できる姉妹達に誰も欠けてほしくありません。
「まぁ、難しい話はあとにしよう。
さて、トレディ。気晴らしに姉と一緒に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ