第二章 [ 神 鳴 ]
十四話 世界が色を変えても…
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瞬にして消し炭にするであろう豪火は中空に現れた巨大な盾によって防がれた。それでも異形は敵を殺す為に炎を吐き続ける。
しかし異形は気付いていなかった。追っ手がすでに自身の後ろに回り込んでいた事を。
「強欲」
傲慢が砕け代わりに手に現れたのは刃渡り九十センチ程刃幅三センチで二センチ位の反りが入った太刀だった。その刀身は黒く文字の様な物が浮かんでいる。
その刃を躊躇無く異形の頭に突き立てた。
「!?!?!?!?」
雄叫びを上げようとした異形が不意に硬直する。少し痙攣するような動きをした後、塵となって消えていった。
散っていく異形を眺めていた追っ手は踵を返し空へと飛び立つ。目的を果たし七枷虚空は帰路に着いた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
紅髪との戦いの後、独り地上に残された虚空だったが少しして自身の体の異常に気付いた。そもそもにおいて紅髪に吹き飛ばされた足が元の戻っている時点で気付くべきなのだが、まぁあの時は余裕が無かったのだろう。
体の異常、それは高い生命力と再生力を持った事。再生と言っても紅髪の能力みたいに強力な物ではなく失った手足が少しすれば元に戻ったり傷の治りが早かったりする程度である。
それでも人じゃなく妖怪に近い体質になったのは虚空自信も疑問だったがその疑問も少しして解決した。新しく使えるようになっていた剣、強欲の能力だったのだ。
生命力など活力を奪う。それが強欲の能力。虚空は紅髪に止めをさした時これを使ったような気がするのでつまりは紅髪の生命力を奪ったのだろうと結論した。
実は憶えていないだけで倒れた後に巻き込まれたメギドのエネルギーも取り込んでいたりする。ちなみにこの剣、生命力がありそうな物ならどんな物からでも略奪できる。生物だろうと植物だろうと鉱物だろうと。
それから虚空は自分が生き続ける為にあらゆる物から命を略奪して生きてきた。本当に永い時を。他者の命を啜る化け物の様になり虚空の心も体のように変化してしまったのだろうか?
帰路に着く虚空の眼は力なく物憂げだった。そしてその口から漏れた声は疲れ切っていた。
「………お腹空いたな。帰ったら何作ろうかな?」
どうやら永き時も虚空の性格を変える力は無かったようだ。幾星霜を過ごし今に至った虚空はあの時と変わらぬ姿と心で新しき世界を過ごしていた。
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