第十一章
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これは悪魔の仕業では」
「いえ、私はそうは思いません」
これは速水の考えであった。彼はキリスト教徒ではない。だから悪魔であるとの可能性は考慮には入れてもそれに凝り固まってはいないのである。これがいいことか悪いことかは全く別の問題としてだ。
「これはむしろ」
「何だと思われますか?」
「魔性の存在には違いありませんが悪魔というよりは死神です」
「死神ですか」
「それも悪しき死神ですね」
彼はあえてこうした表現を使ってきた。やはり言葉を慎重に選んでいる。
「死神にも普通の死神と悪しき死神がいまして」
「確かにそれはありますね」
それはアンジェレッタも知っているようであった。速水の言葉に応えて頷く。
「これは」
「だから影が消えている」
「魂を刈ったから」
速水の言葉が凄みを増していく。
「まさしく魔性の存在の所業ですね」
「そうですね。やはりそうなりますか」
「ええ。それもかなり力が強い」
速水はここでまた懐から一枚のカードを出した。それもまたタロットのカードである。大アルカナのうちの一枚であるらしいことは直感でわかった。
「やはり」
「そのカードは・・・・・・そうですか」
アンジェレッタはそのカードを見て納得した。彼が出したカードは死神であったからだ。まさにそれそのものであった。
「どうやら。間違いありませんね」
「彼女はおそらく自身の姿を囮にしているのでしょう」
「少女の姿を」
「この国にも少女を狙う者はいますよね」
「残念なことに」
アンジェレッタの言葉は歯切れの悪いものであった。
「それは否定出来ません」
「やはり。そうした輩もまたどの国にもいますから」
「彼女はそうした者の命を狙っているのでしょうか」
「そうでしょうね。間違いないかと」
速水は述べた。
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