雪解けの日
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「ふ、ふ、なかなか見事な舞だったぞ。じゃが、これで終幕にしようぞ」
「残念だが諦めの悪さだけは一流でな」
スリュムが振りかぶったバトルアックスの横腹に先程の小槌をぶつける
小槌は見た目以上に重量があったようでバトルアックスの軌道を余裕で変えさせた
そして短く息を吐きながら腕を振って袖に仕込んで置いた薄刃のナイフを手首の動きだけでスリュムの目に向かって投げつける
「ぬぅ……」
スリュムは一つ呻くとバトルアックスで俺が投げたナイフを軽々と弾き返す
その隙に弾かれた剣に付けてあった鋼糸を手繰り寄せた
ナイフを弾いたスリュムが返す刃で振り下ろしてきたバトルアックスを手繰り寄せた剣で受け流す
地面に突き刺さったバトルアックスからスリュムは手を離すと一歩下がって新たにバトルアックスを作り出すと横に凪いだ
俺は剣で下から上に弾くと後ろに下がった
「リン! さっき使った小槌をくれないか?」
「……ようやくか……了解だ」
キリトの声が聞こえてきた方向に向かって鋼糸を巻き付けておいた小槌をぶん投げる
重量的に問題がありそうだが……まあ、キリトだしな
俺が小槌を投げた時を好機と見たのか上から下へ、おそらくスリュムの持つ攻撃で最も威力のありそうな技を放とうとした
しかし、俺の後ろから走った一条の矢がスリュムの手を貫き、スリュムは動きを少しだけ鈍らせた
攻防中に唱えていた闇属性魔法でめくらましをしつつ横に回避する
「おのれ、小賢しい真似を!!」
本格的にキレたスリュムのバトルアックスによる死の嵐を剣で受け流し続ける
時折刺さる炎の矢やユウキたちの剣閃すらも無視し、俺だけを狙った攻撃
しかし、その攻撃は俺に当たることなく唐突に終わりを告げる。俺の後方から聞こえてきた巨大な声によって
「みな……ぎるぅぅぅぉぉおおお!!」
スリュムが唖然として動かなくなったので、後ろをチラっと見ると、スパークを盛大に発生させながらフレイヤが筋骨隆々の中年親父に変身するところだった
クラインとキリトは口を大きく開けて呆然とし、アスナとユウキは口こそ開けていないものの、驚愕している
シノンは苦笑いを浮かべ、リーファは記憶を引き出すことに成功したらしく腑に落ちたといった表情だ
「おっ……」
「さんじゃん!」
フレイヤもといトールの姿は金褐色色の長い髭とゴツゴツとした精悍な顔。手に持つのは巨大化した先程の小槌。クラインが無駄に勇者根性を出して助けたオッサンである
「オオオ……オオオオーッ!」
トールは一声吠えるとスリュムにも並ぶほどの巨大な足で一歩前に踏み出した
「ヌウゥーン……卑劣な巨人めが、我が宝ミョルニルを盗んだ報い、今こそ贖ってもらおうぞ!」
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