雪解けの日
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うめき声をあげているキリトをぼーっと見る
「暇だな」
「応援くらいしろよ!?」
ぽつりと呟いた言葉に反応してキリトは即座にツッコミを飛ばしてくる
応援ならアスナやクラインだけで十分だろうが
そして、そんな状態で十数秒経った頃、ピキリといった鋭い音とともに台座から強烈な光が発生した
直後、涼やかな破砕音とともにキリトの身体と、その手にしっかりと握られたエクスキャリバーがこちらに向かって飛んできた
アスナとクラインによって受け止められたキリトは顔を綻ばせ、ガッツポーズをしようとしたところで、怒涛の如く続くイベントに呑まれていった
「おわっ…こ……壊れっ……!」
「くっ……」
鉄と木を断ち切る剣であるエクスキャリバーが抜かれたことにより断ち切られていた世界樹の根っこと思わしきものが急速に伸び始める
それだけならばよかったのだが、問題は俺達の立っている足場が盛大に揺れ、壁に無数のひび割れが走ったということだ
すぐに俺達が入ってきた道に目を向けたのだが、筍の成長を早送りに見ているような速度で伸びている根っこによって覆われてしまっており、さらに今も分厚さを増加中となればそこを突破するのは不可能だろう
「……! スリュムヘイム全体が崩壊します! パパ、にぃ、脱出を!」
マップを確認していたであろうユイが焦ったように叫ぶがもうすでに出口は存在しない
「根っこに掴まるのは……」
「無理かな」
解決策を必死に考えるキリトがぽつりと呟いた案は即座にシノンに否定された
「リン、なにかない?」
「……一人か二人なら鋼糸で根っこに掴まることは可能だが……俺には三人から一人を選ぶなんでできない」
シノンはもちろん、ユウキとリーファも大切な彼女だ。ゲームとはいえ見捨てるなんてできるわけがない
「よ、よおォし……こうなりゃ、クライン様のオリンピック級垂直ハイジャンプを見せるっきゃねぇな!」
急にクラインはそう叫ぶと壁の端から走り出す
ちなみに一番低い根っこまでの距離はだいたい10メートルくらい
現在の走り高跳びの世界記録は2メートル45センチメートル
オリンピック級のハイジャンプでも届かない
案の定、クラインは根っこに届く前に重力という枷に囚われ、地面に落下した
そして、それがぎりぎり足場を支えていた壁にトドメを刺すこととなってしまう
全員が口々に罵倒の言葉を発すると同時に俺達の乗っている足場は重力にしたがった落下を始めた
不安定な足場に全員がしゃがみ込む
念のため、足場全体に鋼糸を垂らしておく。これで誰かが転げ落ちそうになっても大丈夫だろう
アスナはキリトに抱き着き、俺にはシノンとユウキが抱き着いてくる
ちなみにスピード狂のリーファ
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