第一章
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聞くことができなかった。
「とにかく落ち着いて下さい」
「まあ水でも」
「あ、ああ」
警官達に勧められた水を一杯飲む。そしてようやく落ち着いたところで話しはじめた。
「さっきな、女の子に会ってな」
「はい、それは聞きました」
警官達は真夜中の署内で彼の話を聞いていた。部屋は明るく窓の外では蚊や小さな虫が飛び回っている。ローマは湿地帯の中にあり蚊やそうした小虫が多いのである。これは以外なことであるが実際のローマは案外蒸し暑い街なのである。だからこそ疫病も多かったのだ。
「それでその女の子が柄の悪い連中を殺したんですね」
「そこまではわからないがな」
男は青い顔でそう述べた。まだ身体が震えている。
「とにかくな。人が死んでいるんだ。それで得体の知れない奴がいる」
そのうえでまた言った。
「それを何とかしてくれ。だから」
「ええ、わかっていますよ」
それはわかっている。警官達はそれに頷いた。
「では事件現場に案内して下さい」
「人が死んでいるのなら一大事です。ですから」
「ああ、わかった」
男はそれに頷いた。そして警官達の案内をしてさっき少女と出会った場所にやって来た。そこはごく普通のローマの街中であった。かって城壁に包まれていた旧市街である。
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