第三十話 地雷女って何処にでもいるよな
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警備しやすいから。事実警備兵は元帥府とこの館の両方を一つの警備対象としている。それだけ今のオーディンは危険だという事だろう。
「今日、ヴェストパーレ男爵夫人とシャフハウゼン子爵夫人がいらっしゃいました」
「そうか、あの人達が住んでいる屋敷に比べれば小さな館だ、驚いていただろう」
「そんな事は……」
「冗談だ、そんな顔をするな。それでお二人は遊びに見えたのかな」
真顔で冗談だと言われても……。
「そう仰っていましたが本当はこれからの事を相談に見えられたのだと思います。一体これからどうなるのかと仰られていましたから……」
「そうか……」
夫がちょっと考え込む姿を見せた。一口水を飲む。
「内乱を避けるのは難しいだろう」
「やはりそうなりますか」
「ああ、大きな騒乱になると思う。多くの貴族が存続を賭ける事になる。中立というのは許されないだろうな、中立を願ってもどちらかに所属する事を選択させられるだろう。無理強いされる前に自らの判断でどうするか決めた方が良い、悔いの無いように」
自分達の陣営に付けとは言わなかった。
「決断は急いだ方が良いだろう、ぎりぎりになって決断しても誰も喜ばない。何を迷っていたのかと不審がられるだけだ」
冷静と言うより他人事のような口調だった。夫が粉ふき芋を口に運んだ、ゆっくりと噛んでいる。微かに笑みが頬に浮かんだ。夫はヴェストパーレ男爵家、シャフハウゼン子爵家よりも粉ふき芋に関心が有るようだ。
「御味方に付いて欲しいとは思われないのですか?」
「味方に付いて欲しい家ならリヒテンラーデ侯が声をかけている。声をかけられたと言っていたか?」
「いえ、そのような事は……」
言っていなかった。私が口籠るのを見て夫が微かに笑みを浮かべた。先程までの楽しむような笑みではない、冷ややかな笑みだ。
「おそらくリヒテンラーデ侯だけではない、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯からも声はかけられていないだろう。その事を両家とも不安に思っている……。ここに来たのは探りに来たのだろうな、自分達がどう思われているか、或いは私に味方に付いて欲しいと言わせたかったか……」
「……」
多分私が夫に相談する事も想定していたのだろう。そして何らかのアクションが有る事を期待しているに違いない。
「だからこそ自ら決断して自分を売り込むべきなのだ。その方が相手に対してずっと心証が良くなる、戦後の扱いも良くなるだろう」
「よく分かりましたわ」
溜息が出た。夫は自分で考えろと言っている。夫が一口水を飲んだ。
「シャフハウゼン子爵夫人は平民の出身だと思ったが?」
「ええ、そうですわ」
「それとあの家はもう断絶してしまったがヘルクスハイマー伯爵家とトラブルが有ったはずだ」
「ええ、良く御存じですのね」
驚
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