第三十話 地雷女って何処にでもいるよな
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馬鹿な男だ、自業自得だな。
「それで操ったのは誰だ?」
「例の男が借金していたのはブラウンシュバイク公の息のかかった金融業者だった。敢えて野放図に貸して借金漬けにした可能性が有る」
「……」
「公自身が関与したとは思えないがその周辺が動いたのではないか、そう思っているよ」
ブラウンシュバイク公の周辺か……。
「手際が良いな、フレーゲルやシャイドに出来る事かな?」
「……」
「あそこにはシュトライト、アンスバッハ、それにアントンが居たな」
「ああ」
キスリングの顔が強張っている。まあここまでだな。
「それで捜査が打ち切られた理由は?」
キスリングがホッとしたような表情を見せた。
「イゼルローン要塞が反乱軍の手に渡った事が関係している」
「やはりそうか」
俺の言葉にキスリングが頷いた。
「あの事件の裏に貴族が絡んでいるんじゃないかという事はどんな馬鹿でも分かる事だった。だがそれを突けば国内が混乱しかねなかった。そう貴族達が脅したのさ、だからベーネミュンデ侯爵夫人の暴走で収めざるを得なかった。帝国軍三長官がミュッケンベルガー元帥の辞任だけで事を収められたのもそれが理由だ。貴族達も強く軍部を責められなかった、元はと言えば自分達が原因だからな。両者ともギリギリのところで手を引いたのさ」
俺の事などどうでもいいという事か、所詮は替えの利く駒、消耗品というわけだ……。
「有難うギュンター。良く分かったよ、危険だという事が。これ以上は動かないでくれ、卿を失いたくないからな。それにアントンを不必要に刺激したくない。どうせ戦うことになるけどね」
「分かった」
キスリングが掠れた声で答えた。やれやれだな……。
帝国暦 488年 1月 20日 オーディン アンネローゼ・ヴァレンシュタイン
今日の夕食はチキングーラッシュと付け合せに粉ふき芋。それときゅうりとラディッシュのサラダ。ブレートヒェンとクヴァークを用意した。夫はジャガイモが好きらしい、先程から粉ふき芋を美味しそうに食べている。夫は余り量は多く摂らない、でも結構口は肥えている。美味しくないと口に出すことは無いが美味しいと思っている時とそうでない時ははっきりと分かる。今日は喜んで貰っている様だ。
夫にはお水、そして私には赤ワイン。私もお水にしようかと思ったけれど夫が自分に遠慮はいらないからワインを飲むようにと言ってくれた。申し訳ないけれど一杯だけ頂くことにした。
「この家に慣れたかな」
「はい」
私の答えに夫が頷いた。今度はブレートヒェンにクヴァークを付けて食べた。眼が和んでいるからこれも気に入ったのだろう。夫は元帥に昇進するとこれまでの官舎から元帥府の傍に有る瀟洒な館を購入して移り住んだ。理由は官舎よりもこちらの方が
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