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弱者の足掻き
二話 「準備。そして移動」
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ったはずだ。いざという時の人脈は広い方が良い。そんなことを考えながら礼を返す
そんなやり取りをしながら、しばらく歩くと一軒の家が見えてくる。その前にいる人が、例の親戚なのだろうか。聞いた話では商人だというが

「すみません。あなたが、(いおり)さんでしょうか?」

……なんだろう、このイの字のオンパレードは。親の名前も先頭がイだったのに親戚といい知り合いといい、なんか伝統でもあるのだろうか
霧の里のイの字一族
スゴク……カッコ悪いです

「???では、そういう訳なのでお願いします」
「リョーカイだぁ。ま、ガキの一人ぐらいなんとかなんだろ」
「一応、あいつらの家の中にあった資産で持ち運びが容易なものは幾つか持ってきましたのでどうぞ」
「んなもんあったのか。……へぇ。ま、ガキ一人の面倒見る分には問題ねぇな。貰っとく。おいガキ、こっち来い」

アホなこと考えてる間に話しが終わったらしく、呼ばれたので近寄る
改めてみたその男性はやや大柄で、無精ひげを生やした黒い短髪の容姿。職人の様なイメージで、煙草でも合いそうな印象を受ける

(パッと見三十半ばってとこか……)
「俺は沚島庵だ。お前、名前は?」
「天白イツキです」
「イツキ、ね。まあいい、とりあえず事情は理解してんだよな?」
「はい」
「……ならいい。お前はこれから俺について来てもらうことになる。じゃ、そちらさんはこれで用は終わりだろ」
「ええ。では、これで失礼します。……強く生きろよ」

最後に一言自分に向けて告げ、イサクは軽く手を振って去っていった
それを見送っていると、イオリに声をかけられる

「とりあえず家ん中入るぞ。準備もあるしな」
「あ、分かりました。……準備ってなんですか?」
「出かける準備だ。お前が来るって聞いて予定伸ばしといたんだよ。もっとも、お前の荷物足すだけだから直ぐだけどよ。それとお前、体力はあるか?」
「お父さんたちに少しだけ教えてもらっていたので、少し自信はあります」
(商人というくらいだし、遠出でもするのか?)
「……そうか……なら、なんとかなんだろ」

そうこうしている内に荷物が纏められる。思っていたよりもさほど大きくないが、そんなものなのだろうか

「さて、と。これから出かけるが、何かしとくことがあんなら今のうちにしとけ」
「あ……なら、お父さんたちのお墓にもう一度行ってきていいですか?」
「別にいいが……一緒に行った方がいいか?」
「えっと、ひとりで大丈夫です」
「そうか……なら行って来い。道は分かるだろ」
「はい」

軽く返事を返し、記憶にある場所まで小走りを始めた




「ここだここ。……周りにはだれもいないよな?」

墓地に着き、周囲を見渡して人気がないことを確認
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