第六十話
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第六十話 風に聞く
美樹も自分達の学年に魔女の転校生が来ることは聞いていた、それでビルガーとファルケンに自分の部屋でこう言うのだった。
「どんな娘でもね」
「心配されていませんね」
「そうですね」
「ええ、そうよ」
こう言うのである、それはどうしてかというと。
「私の魔法にも自信があるし」
「ご主人をいじめようとすればですね」
「その場合は」
「やられやらやり返すわよ」
美樹は確かな笑みでこう言った。
「絶対にね」
「そうですね、そうした人にはですね」
「いじめは来ません」
「誰かをいじめてもね」
その転校生がそうしてきてもだというのだ。
「私許さないから」
「はい、そしてそのご主人はです」
「私達がお助けします」
ビルガーとファルケンは確かな声で言う。
「そしてクラウンの皆様もおられます」
「何の心配もいりません」
「大勢で一人を相手にするのはよくないわ」
美樹はそうしたことは嫌いだ、だからいじめも嫌いなのだ。
だが、だ。それでも皆がいてくれることはというのだ。
「けれど一人じゃないことはね」
「それだけで、ですね」
「心強いですね」
「ええ、そうよ」
明るい笑顔でまた言う美樹だった。
「だから私はそのことについて心配していないわ」
「では何について心配されていますか?」
「そのことでないとすると」
「心配がないと言えば嘘になるわ」
あるにはある、ではそれは何かというと。
弟の信二についてだ、美樹はこう二匹に言うのだった。
「今はしかだけれど大丈夫よね」
「今時はしかでどうにかなりませんよ」
「安心していいですよ」38
「そうよね、それじゃあね」
美樹は確かな顔で頷いた、そうして。
二匹にだ、こう言うのだった。
「それでも神様にお祈りするわ」
「神様にですか」
「今からですね」
「仏様にもね。そうするわね」
「では今から」
「神社とお寺に行きましょう」
「キリスト教と天理教の教会にもね」
そちらも忘れない美樹だった、そうして使い魔達と一緒にお祈りに出た。するとそのお祈りが効いたのか信二のはしかは無事に治ったのだった。
第六十話 完
2013・8・2
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