決勝戦〜前編〜
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残るのは小さなトゲだ。
それでいいのだろうかと。
おそらくはそれはヤンを相手にする限り常にそう思い続けるのだろう。
まったく、胃が痛くなる相手だ。
帝国の将もおそらくは同じ気持ちだったのだろう。
+ + +
試合開始から二時間が経過して、艦隊に動きがあった。
テイスティア、コーネリア艦隊をそのままにローバイクとワイドボーン艦隊がゆっくりと前方に進みだす。
同時にアレス艦隊が防御施設Aを目指して、進みだした。
敵艦隊に動きはない。
防御施設Aまでは十五分。
何事もなく到着し、それから外周を回るように防御施設Bへと向かう。
直線ではないため、防御施設Bにいるテイスティアと合流するのは二十分後であろう。
何事もなければであるが。
もし敵が本拠地に奇襲をかけるのであれば、遭遇する危険が非常に高い。
索敵艦を多く出して、警戒を張り巡らせれば、必然的に速度が低下する。
慎重に進ませて、ちょうど中間地点に来た時にワイドボーンの声が聞こえた。
『アレス、テイスティア。防御施設D地点のレーダーに敵の反応があった。数は一万五千――繰り返す、一万五千隻が防御施設Dから、本拠地に向かっている。コーネリアは敵艦隊を補足し、合流地点に吊り出せ』
合流地点。それは動きだす前に決めた奇襲のポイントだ。
本拠地と防御施設のちょうど中間地点。
アレスからすれば最短でも四十分はかかる距離だ。
時間との勝負だなと、コンソールを叩き始める。
タイムラグによって、ワイドボーン艦隊からテイスティア艦隊まで、そしてテイスティア艦隊からアレスのところに聞こえるまで、それぞれ三分近いタイムラグがある。
既にワイドボーンもテイスティアも合流地点に向かっているだろう。
戦場に着くまでに勝負が終わっていることになりかねない。
それではあまりにも面白くなかった。
+ + +
ワイドボーンの通信が入り、コーネリアは忙しくコンソールを叩きながら防御施設Dへと向かう。
敵との距離に一番近いのはコーネリアである。
真っ直ぐに本拠地へと向かう敵を合流地点で止めなければならない。
一万五千隻と二千隻では勝ち目はないが、少しくらい止めるくらいできる。
それは先日の戦いで、彼女の同期であるアッテンボローが行ったことだ。
あれほどに上手く耐えるきる自信はないが、それでもやらなければ負ける。
勝つ必要はない。
既にワイドボーンとローバイクも合流地点に動き始めているし、テイスティアも向かっている。
ならば、自分の仕事は相手を止め置くこと。
少しでも速度をあげながら、敵艦隊を目指していく。
レーダーでとらえた艦影の数は、自分のおよそ八倍近く。
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