決勝戦〜前編〜
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させて、こちらから半包囲を仕掛ける事ができる』
「それを相手は狙っているかもしれません」
焦れたこちらの艦隊を吊りだして、本隊による奇襲をかける。
前回アッテンボローが行った釣り野伏せと同じ手法であるが、より高度に――悪く言えば、実にずる賢い。
『そこでお前だ。マクワイルド候補生の艦隊は、防御施設Aを抜けて、左から大きく迂回し、敵本隊が参戦した場合にその側面をついてもらう』
「危険ですね。私が迂回している間は、少ない兵力で戦うことになりますよ」
『ふん。俺とローバイクで最低九千はある。危険ならテイスティアやコーネリア艦隊も回せばいい。防御戦に徹すれば、貴様が来るまで十分持たせられる』
「来ないという事は考えないのですね」
『敵本隊を抜いた二千に貴様が負けるというのは、想定外だ』
憮然とした言葉に、アレスは小さく苦笑を浮かべた。
その上で、素早く思案する。
すでに開始から二時間が経過している。
時間が経過すれば、それだけ相手が有利になるのは十分理解している。
ならば、手を打つのが理想なのだろう。
ワイドボーンの作戦は問題がないように思える。
あくまで、相手が釣り野伏せを狙っているという想定であればだが。
アレスならばどうするか。
眉間にしわがよった。
「……ワイドボーン先輩」
『何だ?』
「本拠地に全面攻勢をかけられた場合は、何分で陥落すると思いますか」
『もって三十分だろうが、その前に防御施設を通るからその四十五分前にはわかる』
本拠地から各防御施設までの距離は、およそ十五分で統一されている。
防御施設の前方で戦う事になれば、戻るまでにさらに余分な時間がかかるだろう。
おそらくは――間に合わない。
『そうか』
理解したように、ワイドボーンが口にした。
『実に嫌な手を考える。それだけは認めてやってもいい』
呟いた言葉に、アレスも同じように頷いた。
相手が焦れて前方に出撃した瞬間――高速戦艦を主体にした本隊が防御施設を無視して、本拠地に攻勢を開始する。
こちらを倒すのではなく、いかに戦わないかに徹底した作戦だった。
確証はない。
だが、無視するにはあまりにも危険すぎる。
『ならば、こちらにも考えがある。左から敵本隊が来た場合には、貴様が。右から敵本隊が来た場合には、コーネリアが敵を誘い出し、こちらが奇襲をかける』
「釣り野伏せですね」
『ああ。敵接敵までに時間がかかる上に、危険な任務だ。敵には左から来てもらいたいものだ』
「少しは俺も心配してもらいたいものですね」
『心配してほしいのならば、少しはピンチになるのだな、マクワイルド候補生』
通信回線が切られて、アレスは息を吐く。
方針が決まって、しかし胸に
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