決勝戦〜前編〜
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る。
観客席では不満が起こっているだろう。
決勝戦にしてみれば、随分と花がない戦い。
しかし、実際のところ相手からすれば、こちらと戦う必要はない。
防御施設を一つでも攻略すれば、一戦しなくても相手の勝ちとなる。
相手がいない防御施設をコツコツと叩いていく。
嫌らしいが確実な方法である。
このまま他の施設に攻撃をしかけられれば、一戦することなく敗北が決定しかねない。
かといって、各施設を守るために戦力を分散させるのは愚策。
いまだに相手は二千隻の艦隊でしか、こちらの防御施設を攻めていない。
つまりどこかで、ヤンは本隊とともにその状況を冷静に見ている。
分散させれば、各個撃破――かといって、どこかに戦力を集中させれば、別の施設が狙われる。
現れた敵艦隊に対処するだけの無駄な時間が流れる中で、ワイドボーンから通信が入った。
『どう思う?』
「各防御施設の中央に本隊をおいて、向かってくる相手を迎撃するのが無難なところですね」
『無難か。だが、そうすると本拠地ががら空きになる』
「相手がそれを狙っていないと言いきれないのがつらいですが」
相手はヤン・ウェンリーだ。
既に本拠地方向に本隊を回していたとしても不思議でもなんでもない。
アレスはそう考えながらも、それでも守勢に回る方が無難であろうと考えた。
どの手も相手が狙っているように思えてくる。
ならば、最善の手を決定してしまえばいい。
その上で本拠地を狙われるデメリットがあるのならば、そのデメリットの対策を考えておけばいいからだ。
そう考えて、アレスは口に手をやった。
「少なくとも本拠地側に高速艦を並べておくだけで、時間稼ぎはできるでしょう」
『悪くはない。だが、ずっと守っているだけというのは良くないな』
「ん?」
『相手からすれば、最初で防御施設に攻撃を加えたことで、あとは一戦もしなくても勝ちが決定する。このまま逃げ続けられたらどうする?』
「そんな手もありますね」
『普通ならあり得ない話だが、奴は本気でしかねない。なぜなら、それがもっとも楽な戦い方だからだ』
ワイドボーンの断言に、アレスは否定の言葉が浮かばなかった。
ヤンにとっては華々しい勝利も、逃げ回ったみっともない勝ちも同レベルであろう。それならば、勝てるために様々な手を打つ。
わざわざ敵に姿を見せることなく、このまま逃げ回るというのも一つの手だとアレスは納得したからだ。
『ならば、こちらから動くしかあるまい。俺とローバイクが中央に進む。敵に動きがあれば、テイスティア、コーネリアの部隊と連携して敵を叩く事ができるだろう。仮に本隊が見つからなかったとしても、次に防御施設にちょっかいを与えられた時はテイスティアを先行
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