喪失編
四話
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も頷けた。
「でも、気をつけたほうがいいわね」
「なぜ?」
「今から行く島は最近魚人の縄張りになった場所なの。賞金首のリストにも載っている筈、ちょっと待ってて」
ロビンはそう言って、船長室に引っ込むと何かの紙を一枚持ってきて、俺に見せる。
その紙にはギザギザの鼻と鮫のように尖った歯を持つ青い肌の屈強そうな人外が写った写真と下の方に2000万ベリーという知らない通貨に名前、Dead or Aliveの文字が書かれていた。
「生死を問わず、か.....」
「......貴方って変な所ばっかり食い付くわね、DIO」
生死を問わずを確認するのは変な所ではないと思うが?
少女とは笑いだけでなく、価値観まで違うようだ。
「ここは大事な所だ、変な所ではない」
「違うわ。私が言いたいのは、なぜ最初にそこを見るのかって事よ」
「何か問題があるのか?」
「ないわ。でも、普通なら賞金や写真に目が行くでしょ?」
「そうか?」
「そうよ」
そう言って、再び笑うロビン。
俺がこの少女に何をしようとしたか知ったら、こうも笑えるだろうか。
ふと教えてみようかと気まぐれに思うが、辞めた。
自分から墓穴を掘る程、俺は愚者ではない。
俺はロビンから視線を外し、さっきと同じように海を眺めた。
後ろを向いたままでも、少女の笑い声が耳を突いた。
5日目の朝、船長室にあるベッドから起き上がると扉を開け、甲板に出た。
そこには昨日と同じように背を向けた彼が居る。
私は寒くないように上着を羽織り、彼の横に並ぶように立った。
「島が見えてきた。準備はしておけ」
彼が一言素っ気なく呟き、前を向いたまま、島を指差す。
「分かったわ。でも、まずは挨拶したら?はい、おはよう」
「.....おはよう」
彼は少しの間の後、いつものように無表情な顔を向けて、言った。
今でも、不思議に思う。
なぜ、自分が敵であったこの男と旅をしようと思ったのか。
気まぐれ?命を助けてもらったから?彼が強かったから?
考えれば、考える程色々な理由が思い浮かんだ。
「本当、不思議ね.....」
私は小さく微笑んだ。
信頼を置けるような相手でもない。
なのに、何で一緒にいようと思ったのかしら?
「何がだ?」
聞き返してきた彼に笑みを浮かべる。
「大した事じゃないわ」
ゴン!
軽く船をぶつけたが、船は島に寄り添うようにして、停止する。
「先に降りる」
俺はロビンにそう言ってから碇を海に投げ込み、船から飛び降りた。
本来なら船着き場で降りたい所だが、魚人に見つかると面倒になるとロビンに言われ、目立たない場所に船を停めた。
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