喪失編
四話
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船に揺られること、3日目。
航海は順調に進んでおり、今の所は然したる問題も起きていない。
至って平和だ。
絶え間なく風が吹き、服をはためかせ、空では太陽が燦々と降り注いでいる。
天候も良好。
そんな中、先が見えない海を眺めながら、俺は砂浜での出来事を考えていた。
「.......」
本当はあの時、気絶したロビンに肉の芽を埋め込む筈だった。
その方が従順で忠実な部下ができる。
そうしようと思った一番の理由としては、能力者であるこの少女をただ殺すのが単純に惜しかった。
だが、出来なかった。
情に流された訳ではない。
額に当てた肉の芽が《弾かれた》のだ。
まるで磁石のNとNがくっつく事がないように。
原因は不明。
なら、吸血時にエキスを流そうと思うも、徒労に終わった。
いくら流しても、ロビンがゾンビ化する事はなかった。
それどころか、吸血しても死なない。
どちらも原因は不明、だが心当たりが無いわけでもなかった。
悪魔の実。
ロビンから聞くとそれはフルーツのような見た目で、食べると何かの能力に目覚めるらしい。
だが、代わりに海に嫌われ、泳げなくなるというデメリットがある。
それが原因だと俺は考察した。
根拠があるわけではないが、エキスを流した船長はゾンビ化を果たしていた。
これで、俺の能力が働いている事が証明できる。
恐らく悪魔の実は食べた対象に何らかの防御対策が施されるのだろう。
......眷属を増やすまでしばらくはロビンが裏切らないように、対等の関係を演じなければならない。
もし万が一また裏切るようなら.....航海士がいなくなるのは、困るが始末すればいいだけの話。
容易ではないだろうが、世界が居れば事は簡単に済む。
止まった時の中では誰しもが世界に逆らえないのだから。
「何を考えているの、DIO?」
船長室に籠っていたロビンが扉を開け、甲板に佇んでいる俺に聞いてきた。
ロビンには船にあった海図で近くの島を探させている。
俺はここの地理に詳しくない、必然的にロビンを頼りにしなければならない。
難儀な事この上ないが、情報がない以上仕方なかった。
「大したことじゃない」
「その割りには難しい顔してたようだけど?」
「そうか、気づかなかった」
俺の返事にロビンが小さく笑う。
何も可笑しな事は言っていないというのに。
この少女はどこか人と笑いの壺が違うようだ。
「フフッ、まぁいいわ。それより近くに島を見つけた。2日程で着くと思うわ」
「そうか」
イーストブルー。
この海の呼び名で、世界にある4つの海の中でも脅威になる海賊が少なく、平和な場所だという。
確かにこの船の海賊達と戦った限り、それ
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