第九十五話
[16/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ライダーは手綱を握り締めると鞭を打って戦車を走らせ夜の空へと消えていった。
ライダーは去ったが、セイバーとランサーが剣を引くかはまた別問題だろう。
「セイバー、今此処で決着を付けたいと思うのは俺も同じだが、ならば場所の移動をしてからにしよう。ここはキャスターの暴挙で人が集まりすぎている」
「いいでしょうランサー。その提案に乗りましょう」
「感謝する、セイバー。ならば俺達が一番最初に邂逅したあの場所で決着を付けよう」
「応ともさ」
互いにのみ通じる騎士道精神にのっとり、この場は一度去り、場所を変えて再戦の約束。
策謀に寄らずに真っ向から叩き伏せるを選ぶところが純正の英霊たる所なのだろう。
ランサーは霊体になって去る。
「私達はランサーとの決着を付けに行くわ。アリアとチャンピオンはどうするの?…できれば付いてきて欲しくは無いのだけど」
そりゃそうだろう。危険だから来るなと言っている事もあるだろうが、その実は邪魔されたくないから俺達…いや俺に来て欲しくないのだ。
「今日はもう帰るわ。わたしもチャンピオンも消耗してるし、それに目的は果たしたからね」
「え?」
「な、何でもない」
小声で呟いた声はアイリスフィールには聞こえなかったらしく聞き返したが、イリヤはとぼけてしまった。
果たした目的とはいったい…キャスターの討伐では無いような気がするのだけど…後で確認しよう。
「いきましょう、チャンピオン」
イリヤに命令された俺は彼女を抱えると夜の空へと翔け上がった。
アイリスフィールとセイバーから距離を取り、視界から完全に消えると俺はイリヤに問いかける。
「目的を果たしたって言ってたけど、イリヤの目的って?」
イリヤは少し言いづらそうにしていたが、観念したのか答を返す。
「わたしの今日の目的はサーヴァントの魂を小聖杯に回収する事だったの」
「なっ!?」
「すでにアサシンは昨日の戦いでわたしの小聖杯で回収していたし、今日キャスターを回収した事によって完全にわたしが今回の小聖杯として機能し始めたわ。これならもう何処に居てもわたしの方へと優先的にサーヴァントは回収される」
「何故そんな事をしたんだっ!?」
サーヴァントの魂を集めれば集めるほどイリヤの体は人間としての機能を失うと言うのに…
「わたしの願いを叶える為にはこれしか無いのよ」
「聖杯が欲しいのか?聖杯に叶えてもらえる願いなのか?」
「ううん。聖杯は要らない。寧ろ邪魔だと思ってもらっても構わない。だけど…わたしがわたしの望みを叶える為には今はサーヴァントの魂をお母様に回収されるわけにはいかないの…ねぇチャンピオン。わたしのわがままに付き合ってくれる?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ