第九十五話
[15/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
空を翔け、チャンピオンがわたしを迎えにやってくる。
光る妖精の翅をはためかせ、着地するその様は甲冑を着込んでいるとは言えまるでおとぎ話の妖精のようだった。
◇
「ただいま、イリヤ」
「おかえり、チャンピオン。そしてご苦労様」
「ああ。流石に疲れた」
労いの声を掛けてくれるイリヤだが、その他のメンバーは俺から距離を取り、マスターを守るように後ろに庇っていた。
なるほど。俺は少しやりすぎてしまったのだろう。
切り札を二つも切ってしまったのだ。その威力を目の当たりにすれば警戒レベルも上がると言うもの。
「のう、チャンピオン。あれほどの破壊をして、現実世界は大丈夫なのか?」
「問題ないだろう。結界内の事象は反映されないから」
ライダーの言葉を聞いて俺は封時結界を解除する。
途端に景色が塗り替えられるように色が付き、破壊の後は何も無くなっていた。
街は喧騒であふれ、人の流れが行き交っている。
「ふむ。聖杯戦争には欠かせないような能力だな。余たちの戦闘はやはり周りを混乱させるに十分な威力をともなうからのう。…やはり余の臣下にくだらぬか?」
「降る価値がないだろう。俺に何のメリットも無いじゃないか」
「ふむ…余と共に王道を突き進み世界を征服する…事にはそなたは何の魅力も感じなさそうだのう」
真に残念とライダー。
「そう言えば聖杯戦争参加者じゃない第三者がキャスターを倒した場合、令呪はどうなるんだ?第三者に与えられる可能性もあるかもしれないけれど、引き下げられたとは言え一度は討伐以来がでたチャンピオンに令呪を渡すとは思えないんだけど?」
御者台に居たウェイバーの素朴な疑問。
「それは…どうなるんだ?」
ライダーが回りに問いかけるが、それに答えられる人物は居なかった。
「勝者無しと言う事になるでしょうね。と言うか、誰がキャスター討伐を目撃できたと言うの?あの空間には私達とキャスター以外は居たのかしら?」
「選別が面倒だったから目に付いた戦力以外は取り込んで無い」
アイリスフィールの問いに答えた。
「私達が申請しても令呪の授与は望めないでしょうね」
と言うか、既に令呪の授与は出来ないんだけどね…凛が根こそぎ奪って行ったから…
アイリスフィールの言葉に沈黙が訪れたのは仕方ない。
令呪の授与を餌にキャスター討伐に皆が買って出たのに横から掻っ攫われて勝者無しとかは納得がいかないよね。
とは言ってもこれ以上この問題で此処で討論すべき物は無い。
「さて、今夜はいささか消耗したし、今日の戦いは此処までだな。ほら、帰るぞ坊主」
「ちょっ!ライダーっ勝手に決めるなよっ!」
豪快にもう今日は戦わぬと宣言した
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ