第九十五話
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「教会の門子はいつでも救いを求める者に開かれている。さあ、奥へ、主への祈りの後、私があなたの悩みを聞いて差し上げましょう」
「そうですか」
凛は案内されるままに主への礼拝をした後に神父へと向き直る。
俺はと言えば長椅子にすわり、その様子を眺めていただけだ。俺自身が神に祈るなんて事は神を殺した事のある人間がすることでは無いだろう。
「それで、どのような事でお悩みかな」
「ええ、実はさるゲームの賞与贈与の生贄とされて困っているんです。私自身は何も聖杯なんて必要ないと思っておりますのに…」
「なっ!?」
ガタンと崩れ落ちる神父。
「チャンピオン」
凛が俺を動かす。今回俺が擦るべき事はこの神父を操る事だ。
なるほど、凛は以前卓越した魔術師と自負している自分を簡単に操った事を覚えていたのだろう。
「はいはい…」
万華鏡写輪眼を発動し、思兼を行使する。
一瞬で神父に暗示を掛け、命令する。令呪を渡せ、と。
「手を出してもらえますかな」
「どうぞ、神父様」
凛は自身の腕を出すと、それにそっと触れた神父は何事かを呟く。
凛の二の腕の辺りが輝き、二重、三重と円の形をした令呪が形作られていく。
そして神父が持つ全ての霊呪を受け渡された凛の腕は二の腕から肘の辺りにまでびっしりと令呪が施されていた。
確かに贈与できるのならばそれは他者に令呪を与えられると言う事だ。そうなれば、神父からの令呪の略奪は考えれば容易。ただ実行する聖杯戦争参加者はいまい。なぜなら実行すれば自分の立場が危うくなる。
しかし、俺達は既に逆境、それを逆手に取り、かつ大胆に利用するとは…
「ありがとうございます、神父様。行きましょうチャンピオン」
帰る前に全てを忘れろと命じて令呪の略奪は完了する。
「ああ、ついでに。出来るのなら私達の討伐の中止も命令しておいて」
そんな事をすれば彼らの身が危ういだろうが、…いやすでに令呪が無く報酬を与えられない時点で危ないのだが、確かに討伐依頼のキャンセルはやってみても良いだろう。
思兼で俺達の討伐依頼をキャンセルさせるよう命令すると教会を出て空を飛び、衛宮邸へと戻った。
衛宮邸へ帰り着くと、凛へと問いかける。令呪を奪うと言う奇行に対する回答が欲しい所だ。
「それで?令呪を足した所ではぐれサーヴァントとの再契約なんて滅多な事ではありえないよ?」
衛宮士郎と契約解除されたセイバーと再契約していたみたいだが、それはかなりレアなケースと言えよう。
「そうね。リンはどうやってサーヴァントと契約しようと言うのかしら?」
イリヤもそうそう問い掛けた。
「あら、サーヴァントなら目の前に居るじゃない?」
は
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