第二十九話 これから必要になるのは喪服だろう
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ます」
「……」
「最悪の場合は今後反乱軍が押し寄せた場合、辺境星域は本当に彼らに味方しかねません」
俺の言葉にリヒテンラーデ侯がエーレンベルク、シュタインホフに視線を向けた。視線を受けてエーレンベルクが
「ヴァレンシュタインの言う通りです、今後の事を考えれば何らかの対応は必要です」
と答えるとシュタインホフが頷いた。リヒテンラーデ侯の表情が更に渋いものになった。
「言っている事は分かるが財源が……」
「今回の戦いで反乱軍の艦艇を一万三千隻以上鹵獲しました。これを売却すればかなりの金額になります。役立ててはいただけないでしょうか?」
俺が提案するとジロリとリヒテンラーデ侯が俺を睨んだ。
「簡単に言うでない。今年はそれで良いかもしれんが来年以降は……、いや内乱が終結すれば財政に余裕は出るか……」
リヒテンラーデ侯が呟き考え込んでいる。そうそう、来年以降は馬鹿貴族共の財産を没収するんだから財源は有る。開発資金の捻出は十分に可能だ。今後は同盟軍が攻め込んでくる可能性が有る、その地域を敢えて開発する。その意味は大きい、辺境も政府が自分達の事を考えてくれていると理解するだろう。
「良いだろう、卿の提案を受け入れよう。なんども言うようだが早急に艦隊を編成して貰おう、反乱軍が介入する前に内乱を終わらせなければならん」
「承知しました」
執務室を出て廊下を歩いているとグリンメルスハウゼンが居るのが見えた。どうやら俺を待っていたらしい。急ぎ足で近付いた。
「閣下、先程は御推挙、有難うございました」
「いやいや、当然の事をしたまで。礼を言われるようなことではない」
「……」
「むしろ礼を言うのはこちらの方だ。これまで良くこの老人を助けてくれた、感謝している」
「総参謀長として当然の事をしたまでです。むしろどこまで閣下を御支えする事が出来たのか、心許なく思っております」
「いや、卿は本当に良くやってくれた。礼を言う」
出来れば礼を言う前に辞めて欲しかった。悪い人物じゃないんだが、組織のトップには向かないよな。廊下を歩きだした、この老人と歩くのは悪くない、ゆっくり歩いてくれるからな。
「卿の様に能力の有る人間にとっては帝国で平民に生まれるというのは苦痛だろうの」
「……そのような事は」
「隠さずともよい、私の様な凡庸な人間でも貴族と言うだけで元帥にまでなれる。だが卿を元帥にと言えば皆が顔を顰める、面白く有るまい」
「……」
言葉に詰まると老人が笑い声を上げた。
「私に出来るのはここまでだ、後は卿自身の力で未来を切り開くがよい」
「未来ですか……」
「うむ、卿自身が望む未来をの」
「……貴族の方々にとっては面白くない未来かもしれませんが」
俺の言葉に老人がまた笑った、上機嫌だ。
「そ
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