第二十九話 これから必要になるのは喪服だろう
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出来ない……。そして爺さん、俺は知らんぞ。あんたは俺に剣を与えた、そして敵もだ。俺は剣を抜く事を躊躇う人間じゃない、その剣に血を吸わせる事もだ。
「有難うございます」
「有難うございます、懸命に努めます」
「うむ、励むが良い」
取りあえず終わった。グリンメルスハウゼンと共に帰ろうとすると俺だけ残れと言われた。
グリンメルスハウゼン老人が立去るとリヒテンラーデ侯が表情を厳しくした。他の二人も厳しい表情で俺を見ている。侯が口を開いた。
「宇宙艦隊を早急に編成せよ、これまでの様に九個艦隊等では困る、十八個艦隊揃えるのだ」
「はっ」
「ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が妙な動きをしている」
「と言いますと」
「これまで対立していたがここにきて密かに手を結んだらしい」
「なんと、真でございますか」
「うむ」
ワザと驚いて見せるとリヒテンラーデ侯が渋い表情で頷いた。
「しかし一体何をしようと言うのでしょう? まさかとは思いますが武力による簒奪でしょうか?」
「おそらくはそうであろう、本人達もその周囲も歯止めが利かなくなっておるようだ」
溜息を吐いて首を振った。出来るだけ野心の無い有能なだけの軍人に見せろ。それ以外は不要だ。
「宇宙艦隊を整えよと御命令を受けましたがそれは貴族達の暴発を未然に防ぐためでしょうか、それとも暴発した貴族達を鎮圧せよという事でしょうか?」
俺の問い掛けに三人が顔を見合わせた。答えたのはエーレンベルクだ。
「鎮圧だ、この際帝国の膿を出し切ろうと考えている」
二度、三度と頷いて見せた。それにしても膿か、適切な表現だな。
「となると反乱軍の動きが気になります」
「それ故宇宙艦隊を早急に整えよと命じているのだ! 遅れればそれだけ連中の介入の危険度が高まる!」
「はっ」
今度は畏まってみせるとエーレンベルクが満足そうに頷いた。
「ヴァレンシュタイン、卿を宇宙艦隊司令長官、元帥にするのは卿なら勝てると思うからだ、決して後れを取る事は許さん」
「分かっております、御信頼を裏切るような事は致しません」
「うむ」
最後はシュタインホフだ、好い気なもんだよな。
「早期鎮圧のために一つお願いが有ります」
三人が顔を見合わせてからこちらを見た。リヒテンラーデ侯が“何だ”と問い返してきた。
「今回の戦いで辺境星域にはかなりの負担をかけました。彼らの苦労を労って欲しいのです」
「具体的には卿は何を求めておるのだ?」
「辺境星域の開発を」
俺が答えるとリヒテンラーデ侯が渋い表情をした。金かかるからな、嫌がるよな。
「ここで彼らの負担を労わないと貴族達が暴発した時、辺境がそれに同調する可能性が有ります。反乱を早期に鎮圧するためには辺境星域の不満を解消しておく必要が有り
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