第二十九話 これから必要になるのは喪服だろう
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俺を見た。答えろって事か? さっきあんたに説明したのはこのためなんだけど……。国務尚書、軍務尚書、統帥本部総長、皆が俺を見ている。仕方ない、答えるか……。
「艦隊戦力は八個艦隊の内二個艦隊を降伏させその他の艦隊にも大きな損害を与えました。五割を超え六割に近い損害を与えております。これを反乱軍の宇宙艦隊全体で見ますと反乱軍は約四割の戦力を損失したと判断できます」
執務室に満足そうな声が溢れた。アムリッツア会戦が無いから原作に比べれば少ないんだけどね、満足してくれて嬉しいよ。
「その他にも辺境星域に進駐していた陸戦部隊、通信部隊を捕虜にしました。捕虜の数は艦隊乗組員も合わせれば二百万人に近いと思います」
「二百万か……」
国務尚書が溜息を吐いた。まあ分からないでもない、辺境星域の有人惑星にはそれより人口の少ない星も有る。
「真に見事な勝利であった、亡きフリードリヒ四世陛下もさぞお喜びであろう」
国務尚書が労うとグリンメルスハウゼンが“恐れ入ります”と答えた。少し声が湿っている。あの皇帝の死を本気で悼んだのはこの老人ぐらいのものだろうな。二人の娘も何で自分の娘を後継者に選んでくれないのかと怨んだかもしれん。でも一人でも悼んでくれる人間が居たんだ、それでよしとすべきだろう。どう見たって名君とは言い難いんだから。
「卿は新帝陛下の事をどう思われるかな、新帝陛下は先帝陛下の嫡孫、唯一の男子でもあられる。皇位を継がれるべき方だと思うのだが貴族達の中には不満を漏らす者が居るので困っているのだ」
探る様な口調だ、聞いていてあまり楽しい口調じゃない。ついでに言えば不満を漏らすなんて生易しいレベルでは無いだろう。声高に騒いでいるのが事実だ。
「先帝陛下は後継者をはっきりとは決めませんでした。その事で一部の者が騒いでいるのでしょうがそれは決める必要が無かったからではないかと私は思っております」
おや、爺さんが妙な事を言いだしたな、他の三人も不思議そうな顔をしている。
「ブラウンシュバイク公爵家のエリザベート様、リッテンハイム侯爵家のサビーネ様、いずれも姫様方であられます。直系の男子を差し置いて皇位に就くなどあり得ますまい。敢えて決めなんだのはそういう事では有りますまいか」
「なるほど」
リヒテンラーデ侯がグリンメルスハウゼンの答えに一瞬虚を突かれたが直ぐに“そうであろう、いや、そうに違いない”と言って頷いた。軍務尚書も統帥本部総長も満足そうに頷いている。
なるほどなあ、そういう考え方も有るか。筋は通っているからブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯も反論は難しいな。大義名分を得た、そんな感じか。リヒテンラーデ侯が喜ぶはずだよ。どうした爺さん、フリードリヒ四世が死んで覚醒したか。
「見事な伯の見識、恐れ入った。どうであろ
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