第四十話 少年期【23】
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副官さんに特に何かをした記憶はない。そしてこの人の口ぶりだと、おじいちゃんも大人しいらしい。俺が特に何もしていないのは、総司令官が何も行動を起こしていないのが大きいだろう。
だが、そこに疑問を俺は持った。果たしてあのおじいちゃんが、これほど長く副官さんをかわいがらなかったことがあっただろうかと。
『おい、どうした』
「えーと、いえなんでもないです。どうもありがとうございました」
嵐の前の静けさ。そんな言葉が頭に浮かんだが、自分には関係ないことだしいっか、と俺は流すことにした。
******
「うーん、ここら辺は民族関係の本ばっかりだな。一族固有の魔法とか面白そうだけど、俺が使えるわけでもないし」
『それでは、別の部屋に行ってみましょうか。ここの本の所在は地図に登録しておきますよ』
「そうだな。それで頼むよ、コーラル」
俺は手に持っていた本を本棚へと直し、さらに奥の通路へと進むために身体を無重力に任せる。そして静止していた姿勢から身体を倒して前へと踏み出した。それによって俺の黒髪が宙に舞い、まるで泳ぐように無限書庫を進んでいった。
本局から無限書庫へと続くゲートは、今のところ全部で3つ作られている。今まで俺がよく訪れていたゲートAは、俺が初めて無限書庫へ来た時に使ったところだ。無限書庫の入り口として一般局員の使用頻度が一番多い。あの辺りは地図がしっかりあるし、整備されているため比較的本を探しやすいところなのだ。
そんなゲートAの近くにある本は、ミッドのことや近代関連が多く、普遍的な知識を調べるのに向いている。しかし、専門的なものやマニアが喜びそうなマニアックな内容は数が少ない。そういうのはもっと奥の方に行かないと見つからないのだ。そのため、そういうのを探す人たちのためのゲートが、今日俺が通ってきたゲートBであった。
「こっちの方は初めて来たけど、本当に専門書やマイナーな本が多いな。数も多いし」
『これでもまだ整備されている方ですよ。今日ますたーがいくB-3は未整理区間ですから、種類ごとの統一がさらに大雑把なものになっていると思います』
無重力を飛びながら、俺はコーラルとお互いの情報を交換し合う。俺は司書さんや利用者の方から聞いた話を、コーラルは管理局のデータや書庫の記録から話を照らし合わせていく。いつでも魔法が使えるようにデバイスを起動させておき、話をまとめながら本や道を探索するのが俺たちの無限書庫でのスタイルとなっていた。
今回は未整理区間の探索となるが、一応管理局の調査が一度入っているため危険物はないと聞いている。さすがに一度も調査されていない場所に踏み込むつもりはない。といっても、図書館で危ない目に合うとか想像がつかない。それでも気を付けるとしたら、怪
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