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久遠の神話
第五十二話 重力の剣その二
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「それでもです」
「攻撃はどちらかになる」
「そこを衝きましょう」
「わかった、それならだ」
「はい、今から」
 頷いてそしてだった。二人はスペンサーを斜め前の場所から挟んだ、そのうえで。
 二人同時に前に出て襲い掛かった、そのうえで。
 それぞれの力を剣に宿らせた上で突きを繰り出した、だが。
 スペンサ^−はその剣を跳んでかわした、中田はそれを見て言った。
「へえ、でかいのにな」
「身のこなしがいいというのですね」
「ああ、凄いなあの大尉」
 目を輝かせての言葉だ。声に対して言う。
「剣の力にしてもな」
「相当鍛えておられますね」
「そうだよな、バネが違うな」
「体術もかなりの方です」
「後は剣の、力の使い方か」
「御覧下さい」
 ここで声が言った。見れば。
 スペンサーは宙を跳びながら構えそれからだった。
 両手に持つ剣を上から下に一文字に振り下ろした。すると。
 スペンサーを見上げていた広瀬が即座に言った。
「上城君」
「はい」
「横に跳べ、死にたくなければな」
「わかりました、それじゃあ」
 上城も見えた、それでだった。
 二人は即座に横に跳んだ、跳びながら空中で姿勢を正し着地した。それから二人が前いた場所を見ると。
 そこが大きく崩れ落ちた、まるで重い何かが落ちた様に。
 出来たクレーターを見て広瀬が言った。
「重力だな」
「それですね」
「それを使うか」
「よくかわされましたね」
 スペンサーが着地して言ってきた。
「今のを。流石は剣士ですか」
「気配でわかったからな」
 こう返す広瀬だった。
「それはな」
「そうですか」
「しかし。重力か」
「これが私の力です」
「面白い力だな」
 広瀬はまた言った。
「押し潰してくるか」
「目には見えにくいので」
 一応濃い青になっているがそれでもだった。霧の様で見えにくいのだ。
「わかりにくいですが」
「しかしだ」
 二人でスペンサーに言う。
「見える、そして察することができる」
「それでかわしました」
「私の重力は目に見えてしまいます」
 ここが普通の重力とは違っていた。
「重力は本来は色がないですが」
「剣士の力としての重力はですね」
「色があるな」
「ハンデでしょう」
 そうであると。スペンサーは自分で考えて述べた。
「これは」
「ハンデ、ですか」
「それはか」
「そうです。しかし目で見るだけではありませんね」
 目は人間の器官の中で最も重要な器官の一つだ、見えないというだけでそれはかなりのハンデなのは確かだ。
「その他の感覚もありますから」
「聞く、そして」
「感じるだな」
「五感ですね。この場合舌は関係ないですが」
 味あうというのはだ。それは戦いとは無縁だった
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