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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十三話『輝く世界へ』
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「今後ともよろしくな、セシリア」
次に握手をしたのは、一夏。
上下に軽く振るように、優しく彼女の手を握る。
「よろしく、セシリア」
箒が握手。
優しくその感触を確かめるように、きゅっと握った。
「よろしくー、セッシー♪」
最後に本音。
珍しくダボダボの袖から手を出し、両手で包むように握手をした。
「……っと、そんじゃそろそろ、教室に向かおうぜ。早くしないと、マジで織班先生に殴られそうだ」
ふと、時間を確認した修夜が、全員に警告を発した。
「げっ、もうそんな時間なのかよ!?」
「……みたいだな。少し急いだほうが良いな」
千冬の雷が物理的に落とされる怖さを知る二人は、この言葉に即座に反応した。
「いっそげー♪」
一方、本音はマイペースに、皆に先んじてトコトコと駆け出す。
「あ、のほほんさんずるいぞ! 箒、急ごう!」
「ああ、そうだな!」
その後を慌てて追いかける一夏達。そして……。
「……やれやれ、まだ少しは余裕があるってのに。元気な奴らだ」
《そう言うマスターはのんびりし過ぎだよ。まったく……》
歩きながら一夏たちを追う修夜と、何時の間に現れたのか、彼の肩に乗りながら何処か楽しそうに見ている
小さな妖精
(
シルフィ
)
の姿を、セシリアは見つめていた。
(……本当に、不思議な人ですわ…)
互いに出会って、それほどの時が経っていないと言うのに、まるで友人として長く過ごしたかのような感覚が、彼女の胸の中にあった。
その感覚は、セシリアにはひどく懐かしく思えた。ずっと昔に封印していた感情だった。
オルコットの家を守るため……ただそれだけの為に、その感情を封印して今を生きてきたセシリアにとって、何時しか世界は狭まり、灰色のように見えていた。
だが、修夜と出会い、一夏達と和解して、彼女の世界は再び色を取り戻し、広がっていた。
何気なく感じ、見慣れたはずの景色が、今のセシリアにはまるで、自分を迎え入れてくれるかのように輝いて見えてた。
(……これが、修夜さんの生きている世界なんですね…)
春の陽光が優しく祝福し、吹く風が優しく自分を包み込む。そんな風に感じてさえいた。
「セシリアー、置いてくぞー?」
そんな風に考えている自分を呼ぶ声が、遠くから聞こえてきた。
「待ってください、今行きますわ!」
そう言って、セシリアは駆け出す。そして、胸の内で決意する。
新たに出来た友人達と共に、この輝く世界を生きていこうと。昨日までの自分と違うやり方で、オルコットの家を守っていこうと。
そして……。
――何時か、この世界に再び色を与えてくれた少年の隣を、共に歩いていこうと……そう、決意した。
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