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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十三話『輝く世界へ』
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楽しいから〜♪」
一夏の質問に、笑いながらゆったりとした口調でそう答える本音。
「そ、それだけなのか?」
「それだけだよ〜。じゃあしゅうやん、もういっか……へぷっ!?」
笑顔を崩さないまま本音は俺に乗っかり……そうになったところを、俺が手で彼女の頭を押さえて止める。
「頼む本音……。流石にここから教室までお前を引きずるのは俺が耐えられない……」
情けない話だが、自分は周囲の視線を一身に集めて登校できるほど、羞恥心に勝てる自信が無い。
ほんと、ルームメイトになってから一週間しか経っていないのに、何でここまで懐いてくるんだろう……。思い返してみれば、補講やISの練習をしてたときも、途中からいたような……。
まぁ、色々とお節介焼いちまっている分が、こういうかたちで出てきているんだろう。
そういえば、日課の修練を一度だけ見せたことがあったけど、あの辺りから余計にじゃれ付いてきているような……。気のせいか?
「む〜、しゅうやんの意地悪ー……」
本気で残念そうに言う本音。
「なんて言うか、微笑ましいな……」
「うむ、甘えん坊の妹を相手にしている苦労性の兄と言う感じだな」
そんな俺達の様子を、何故か微笑ましく見ている幼馴染み二人。ってか、マジですか……。
確かに本音の相手をしていると、妹ってこんな感じなのかなって思う時があったけどさ……。
「むぅ〜……しゅうやんがお兄ちゃんだったら楽しいかもだけど、それじゃちょっとなー……」
「……? なんか言ったか、本音?」
「なんでもないよ〜」
小さく何か言ってた本音にそう問いかけると、彼女はすぐに笑いながら答える。
なんか一瞬、少しだけ不機嫌そうな表情をしてた気がしたんだが……気のせいだったのか?
「……? まぁとりあえず、そろそろ行くか。今日のSHRは織班先生だったはずだから、万一にも遅れたらまずいし」
「うげっ、それは確かに避けたいな……」
俺の言葉に露骨に嫌そうな表情をする一夏。まぁ、あの人の容赦の無さはこいつでなくても嫌なのは事実だな。下手すりゃ、死を意味しそうだし……。
「まぁ、この位の時間だったら早々遅刻する事なんて無いだろうしな」
苦笑を浮かべながら玄関の扉を潜り抜け……その先に、見覚えのある人物が目に入った。
「……うん?」
「どうした、修夜?」
思わず足を止めて、その方向を見る俺に箒が問いかけてくる。
「いや、アレって……セシリア、か?」
寮を出て、少し離れた所に植えられている樹を見ながら、そう答える。
春の暖かな陽光を浴びて、煌めく金色の髪を風に揺らしながら、誰かを待つように彼女――セシリア・オルコットが、確かにそこに立っていた。
――――
「……少し、早すぎたのかしら…」
手首に巻いた腕時計で時間を確認しながら、セシリアはポツリと呟く。
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