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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十二話『宿りし絆(こころ)』
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うけど、やっぱり今コイツを一人にする気にはなれない。
「ぁ……、い…いいえ、大丈夫です、はい…!
 それに…、保健の先生にも一言お声掛けしてしておきませんと……!」
なんか様子がおかしい。
なんというか、急によそよそしくなったというか……。
……まぁ、さっきまで色々と自分の内面を引っぱりだしたり、それで色々と問答したりしたんだ。まだ混乱してるのかもしれない。
「変なこと言って悪かったな、ゴメン」
ここは素直に詫びておこう。
「い…いいえ、お気になさらないでください……。
 それより、お時間の方が――」
そういって、彼女は反対の壁にある時計に眼をやった。
その視線を追って振り返ると、時間はもう17時を過ぎていた。
「あぁ…、ありがとう……」
変な空気だが、この辺りで帰らないと後が怖そうだ……。
「それじゃ、今日はホント色々と悪かったな。
 人のこと言えた義理でもないのに、あれこれと言いたいだけ言うばかりだったし……」
まったく、これが師匠に知れたら、なんと言ってくるやら……。
「いいえ、こちらこそ……。
 なんか、ちょっとだけ……すっきりしました……」
そう呟くオルコットの顔は、どこか穏やかで明るかった。
……どうやら、あんな話でも気を紛らわすのにはよかったみたいだ。
オルコットの少し晴れた顔を見られたことに安心し、俺は椅子から立ってもう一度オルコットの……
……いい加減コレもめんどくさいな。
「なあ」
この際だ、了承はとってみよう。
「はい?」
少しためらいそうになったが、改めて俺は切り出してみる。
「“オルコット”って、他人行儀なのもなんか堅苦しいから、なんだ…、【セシリア】……って、名前で呼んでもいいか?」
正直、「オルコット」「オルコット」と連呼するのも、変な気がしていた。
「いや、お前が嫌ならいいんだ。
 でもさぁ、アレだけ派手にやりあって、ここで色々しゃべって、お互いに色々知ったわけだし……」
そう言っている俺に対し、返答をすべき本人は眼を丸くしたまま黙ってしまった。
やっぱり、昨日今日でこれは――
「い……、いいです…よ……」
……許可は下りたようだ。
「じゃあ……、とりあえず俺はここまでだ。
 今日は色々あったけど、お前と戦ったり話せたりしてよかったよ」
オルコット改め、セシリアに俺はそう言った。
「こちらこそ……、色々ご迷惑をおかけしました。
 わたくしもあなたと戦えたこと、とてもいい経験になった気がいたしますわ」
さりげなくオル……、じゃなくてセシリアの言葉づかいが戻っていたような気がした。
これなら、多分大丈夫だろ。
「それじゃあな、セシリア」
「えぇ、真行寺さんも」
そう挨拶を交わし合い、俺はセシリアと別れて帰宅の途に就いた。

――――


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