旅立ち
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。
すると、戟を持った男性が母さんを診てくれた。
傷自体は深いが、命に別状ないようだ。
近くにいた自分の馬から包帯などの医療道具を貸してくれて、何とか母さんの傷を手当てする事ができた。
愛紗は母さんが気を失った事を聞いて泣きそうな顔になったが、無事なのを聞いて泣き顔だが安心したような顔をした。
今は俺達の家で寝ている母さんの傍でずっと看病している。
父さんも一緒だから大丈夫なはずだ。
他の村人は燃えた家の撤去と怪我した人の治療に当たっている。
幸いにも死者はでなかった。
そんな中、俺は自分の木刀を拾っていた。
(俺にもっと力があったら。)
今回は誰も死ななかった。
だが、次も犠牲者が出る可能性の方が高い。
結局、今回の俺は何も役に立たなかった。
たった二回の蹴りを喰らって、立つ事も困難な状態まで追い込まれた。
自分の軟弱さに苛立ち、強く木刀を地面に叩きつける。
「力が欲しい。
俺の守る人を守る力が。」
俺は独り言を呟く。
「力が欲しいか?」
その独り言に返す言葉が聞こえた。
俺は後ろを振り向くと、そこにはさっき村に助けてくれた男性が立っていた。
「もう一度聞く。
力が欲しいか?」
男性は真剣な眼差しで俺に問い掛ける。
俺は真っ直ぐ見つめ返して、言った。
「欲しい。
力が欲しい。」
嘘偽りない言葉を聞いた男性は笑みを浮かべて、その大きな手をこちらに差し出す。
「なら、私と共に来ないか?」
「えっ!?
旅に出るですって!?」
その夜、母さんは布団に上半身だけ起き上がった状態で、俺の言葉が信じられないのかそう言った。。
夕方頃に母さんは意識を取り戻した。
その事を聞いて俺達や村の人達は大いに喜んだ。
その夜、俺は母さんと父さんの前である決意を告白した。
「うん。
あの人、丁原って人と一緒に旅に出る。」
その決意を聞いた父さんと母さんは驚いている。
ちなみに愛紗は昼間の事で疲れたのか既に、自分の布団で寝ている。
「急な話だな。
何があった?」
父さんが俺の決意を聞いてそう聞き返してきた。
「今回の一件で俺はもっと力が欲しいと思った。
あの丁原って人は何人の武将を鍛えた事のある人らしい。
その人に一緒に旅をしながら強く。」
「そんなの絶対駄目!!」
俺の言葉を遮ってまで母さんは強く言い放つ。
その言葉を聞いた俺と父さんは驚きを隠せないでいた。
「でも、母さん。」
「絶対に駄目。
縁はこの村で愛紗と平和に暮らせばいい。
それでいいじゃない。」
「でも、それじゃあ今回の事が起こった時、また誰も守れない。
あんな後悔、もうし
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