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我が剣は愛する者の為に
旅立ち
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、他の村人も大人しくなるだろ。」

賊はそう言うと剣を振り上げて、俺に躊躇なく振り下ろす。
俺は目を瞑った時、横から誰かに突き飛ばされる。
目を開けると、そこには母さんがいた。

「母さん!?」

母さんは俺を抱きしめるように地面に転がっていた。
俺は背中に手を回すが、その時手には妙な感触を覚えた。
ゆっくりと背中に回した手を戻す。
そこには血が手に付着していた。
背中を確認すると、母さんの背中には大きな切り傷がができていた。

「母さん!!
 ねぇ、母さんってば!!」

俺は母さんの肩を大きく揺さぶる。
すると、母さんは額に汗を一杯流しながらも声に応えてくれた。

「なに・・よ。」

「母さん・・・」

返事をしてくれたことで俺は胸の撫で下ろす。
俺は母さんを肩で抱えながらゆっくりと立ち上がる。

「こっちから来てくれるとは手が省けた。
 それも自分から怪我してくれるとはな。」

賊の頭が俺達に近づきながら言ってきた。
母さんは苦しそうな顔を浮かべながら言う。

「縁・・・・」

「まさか、逃げなさい、とか言うなよ。」

同じことを言おうとしたのか母さんは驚いた顔をしている。

「あの時、誓ったんだ。
 絶対に守ってみせるって。
 だから、このまま逃げ出す事なんてできない。」

俺は母さんが持っている青竜偃月刀を片手に持って、その先端を賊に向ける。

「本当に・・この子は。
 誰に似たんでしょうね。」

「きっと、母さんだよ。」

危機的状況にも係わらず、俺達は軽く笑みを浮かべる。
それが気に喰わないのか、賊は苛立った表情を浮かべる。

「お前達、今の状態を理解しているのか?
 これからお前達は俺に殺さ」

賊の言葉は最後まで続かなかった。
俺と母さんの顔の間に何かが通り過ぎた。
その後、賊の頭は首から斬り裂かれ、そのまま地面に落ちたからだ。
俺は後ろに振り返ると、そこには男性が立っていた。
右手には2メートル程の戟を片手に持っていた。
整った髭につむじ辺りから髪を束ねた茶髪。
その男性はゆっくりとこちらに近づいて行った。

「賊に襲われているみたいなのでな。
 勝手だが討伐に協力させてもらうぞ。」

こちらの返事を聞かず、男性は戟を握り締め、村人が戦っている賊達に向かって走る。
そこからは圧巻の一言だった。
賊に攻撃などさせるよりも早く、巨大な戟を振り回し、一撃で絶命していく。
気がつけば、賊のほとんどは討伐され、残りはどこかへ逃げ去って行った。

「あの人は一体。」

「さぁね。
 でも、あの人のおかげで何とか・・・・」

そう言って母さんは意識を失う。
俺は村人の人を呼んで、母さんの怪我を見て貰う
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