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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十一話『夢』
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……“心底嫌になった”。
人に夢を与えるはずの力が、ほんの一握りの現金な権力者の思惑で、夢見る人たちを“殺す武器”になる、そのこと自体が――。
だから……、
「俺はISで宇宙を目指す、……それが俺の“夢”で、ある人と交わした“誓い”なんだ…」
ふと、脳裏に浮かぶあの人の笑顔……。そして、あの人が見せてくれた初めての蒼空(そら)を思い出した。
「素敵な、夢と約束ですわね……」
背中越しの俺に、彼女はそう呟いた。
「ですが、それとあの言葉とどう言う関係があるんですの……?」
当然の疑問だったろう。
言葉の意味を聞いて、夢を語られても理解できるヤツなんて、普通はいないだろう。
だが俺は、すぐには返答しなかった。
……違うな、【できない】んだよ、オルコット……。
「その人はな、もう……いないんだ。この世界の何処にも……」
「…………!」
オルコットが息を呑むのが分かった。そう、彼女の考えている事は、当たっている。
あの人はもう、【この世】にはいない。
俺と拓海に蒼空(そら)を見せ、楽しそうに宇宙(そら)への想いを語ってくれたあの人は……何処にもいないのだ。
「……だからかな。お前の泣き言を聞いてたら……何となく、似てるって思っちまったんだ。
 もう何処にもいない大切な人に対して、自分の決意を果たそうとしてるところが……さ」
言い終わると同時に、俺は自分の体をオルコットに向けなおし、彼女の顔を見る。
気付けば、なんとなく俺は笑っていた。
「そう、だったんですか……」
オルコットの顔が曇った。それと同時に、また顔は俯きになる。
おそらくは、昼間の俺と同じように“うっかりパンドラの箱を開けた”と感じたんだろう。
でもそんなことは、あの質問の意味を理解した時点で、なんとなく覚悟はできていた。
気にするなと言っても、多分気するだろう。そう思って、俺はそのまま言葉を続ける。
「立場も決意も違う俺達だけど、背負ってるもんは“一緒”だって思った」
改めて、俺はあの時の感想を言葉にしてみた。
オルコットの方は、俺の言葉を聞いてまた顔をこちらに向けてくる。
「お前にもあるんだろ、忘れたくない“約束”ってヤツが」
思い切って、俺は彼女の心に踏み込んで見た。
「今は『いない』大切な人との、“誓い”ってやつが、さ……」
正直にいえば、気になっていた。
彼女があの時にこぼした“お母様”という、その単語が。
あの言葉にだけは、特に特別強いものを込めていた。そんな風に思えた。
この際、嫌われても文句は言わない。
だからこそ、俺は自分の疑問を彼女に投げかけてみた。
一方、訊かれたオルコットは俺から視線を離し、少し思い悩むような顔をした。
当たり前か、自分の古傷を晒すのは、誰だって好きなことじゃない。
彼女は数秒ばかり
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