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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十一話『夢』
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せいか、正直自分でも発言に関する記憶があやふやになっている。
……これはまずい。
瞬間、自分の顔に脂汗が浮くのが明確に分かった。
自分で散々相手をなじっておきながら、その内容を自分の熱にうなられて憶えていないというのは、正直シャレにならない…!!
どれだ、どれを言えば正解なんだ…?!
って、いうか文句を付けられそうな発言なんて、思い当たり過ぎて絞りきれんっ?!
「『負けたら終わり』なんかじゃない、【やめたら終わり】――」
オルコットが口にした言葉が、内心でひどく焦っていた俺を冷静に戻した。

――『負けたら終わり』なんかじゃない、【やめたら終わり】。

「ずっと気になっているんです、あなたがおっしゃったこの言葉が……」
そう言って、オルコットは俺を真っ直ぐ見つめてきた。
その言葉は、どこかの歌で聞いた、何気ない一節。どこにでもありふれた言葉。
でもこの言葉は、俺と拓海にとっては『人生訓』に等しい金言(きんげん)だった。
「多分、お前の背負ってるもんが何となく……俺が背負ってるもんに似てたからから、かもな」
あのときの気持ちを、俺はようやく思い返しながら彼女に返答した。
「……どう言う意味、ですか?」
俺の言葉に、オルコットは聞き返す。
「俺にはさ、“夢”があるんだ」
なんとなくむず痒い気がして、思わず俺はオルコットに背を向けて座りなおした。
オルコットの視線が、俺の背中に向けられる。
「そいつは俺にとって、生涯賭けて絶対果たさなくちゃいけない夢で……今こうしている理由…だ」
空を見ながら、不意に俺は“あの頃”を思い出していた。
「夢……」
オルコットが、ぽつりと呟く。
「……その夢とは、何ですの?」
オルコットは聞いてくる。俺は窓から見える空に目を移し、言葉を紡いだ。
「今のISは、競技と兵器として使われている……これは分かるよな?」
当たり前すぎることを、俺は言った。
「え、ええ……。それが一体何を……?」
そんな当たり前のことが俺の口から出てきたことに、オルコットは戸惑いを見せた。
だけども、俺はこの先を、俺自身の夢を、彼女に告げる。
「俺はな、オルコット……ISを蒼空(そら)の向こうに広がる……無限の宇宙(そら)へと飛ばしたい」
ISは本来、人間が生身で宇宙での活動が出来るようにと、開発者である篠ノ之束博士が壮大な『夢』を詰め込んだ、人類にとっての『新たな翼』だった。
だがいつの世の中も、強力な力を前にすると、人間はそいつで『眼の上のタンコブを潰そう』と“武器”に作り変えてしまう。
――ISもまた、この例外から逃れることが出来なかった。
「俺はさ、IS(こいつ)の持つ【無限の可能性】を秘めた【翼】を、あの宇宙(そら)で自由に飛ばしてやりたい」
“アレ”を見て以来、俺は
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