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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十一話『夢』
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をして、俺はオルコットにそう切り出した。
「あ……、い…いえ……」
するとオルコットの方も、それを聞いて何やらバツが悪そうに眼を泳がせる。
「その……、わたくしも……言い過ぎました……」
内心、俺はちょっと驚いた。
何をって、この反応自体に、だ。
俺は正直、もっと空気が悪くなるか、最悪は怒って追い出されるかを想定していた。
……というか、俺の眼の前にいるのは、誰だ……?
入学初日に出会った高飛車なお貴族様とも、試合中に出会った戦乙女を思わせるIS操縦者でも、まして昼過ぎに泣き崩れて意気消沈していたか弱い女の子でもない。
俺の知らない、いや出会ったことのない女の子が、そこにいる気がした。
――いや、もしかすると、これが本当の『セシリア・オルコット』なのかもしれない。
根拠は無い、でもそう思えてしまった。
「その……ですから……、わたくしの方こそ……」
ふと我に返ると、オルコットが何かを告げようとしていた。
「いいよ、アレは俺が勝手に怒鳴って、勝手に自分の気持ちを押しつけちまっただけだ」
だが言葉の流れから、そこから先を聞いてはいけないと感じて、俺は彼女の言葉をさえぎった。
「ですが……」
それでも、彼女は食い下がる。
「だから、昼間のは俺の責任だ。アンタがそれを“謝る”義理は無いさ」
彼女からその言葉を聞くべきときは、きっと今じゃない。
たとえ意味や意図は全く違うものであっても、それを聞くのは、きっと今じゃないはずだ。
しかし俺の言葉を聞いたオルコットは、そのまま俯いて黙ってしまった。
すると、夕方という時間の魔力も手伝って、わずかな沈黙が瞬く間に場の空気を気まずくしていく。
……まずったか、コレ……。
どうにかしようと、数秒の沈黙のあいだに別の話題を探そうと足掻いてみる。
すると――
「……でしたら」
先に沈黙を破ったのはオルコットだった。
「でしたら一つだけ、お尋ねしてよろしいでしょうか……?」
言葉とともに俯いていた顔を上げ、オルコットは俺を真っ直ぐに見据えてきた。
そこには、強い意志を秘めながらも、不安と動揺にも揺れているようだった。
「あ……、あぁ、なんだ、言ってみろよ…?」
なかば助け船を出された感じに思えたが、沈黙に耐えるよりも最善と感じて話に乗ってみる。
「何故、あの時……あんな事をおっしゃったのですか?」
あのとき――。
その単語で引っ掛かりそうなものを、彼女とのやり取りから検索して見る。
……もしかして……。
いや、ひょっとしなくても、一夏との試合前の出来事のことだろうか?
「それって……」
と、言いかけた直後、俺の中で急ブレーキがかかる。
……いや、ちょっと待て俺。
アレは確か……。
……あれ、どれだっけ……???
自分でもあのときはかなり勢い任せだった
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