暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十話『強き者(スルーズ)』
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
保健室へつながる廊下を探して走っていた。

――――

「…………ん」
小さな呻きを上げたセシリアは、ゆっくりと目を開ける。
「……ここ、は…?」
目に飛び込んできたのは白い天井、風に揺れる視界をさえぎるためのカーテン。
体からは、やさしく布が自分を包み込んでいるという感触と少しの重みが伝わり、鼻からは少し刺すようなにおいを覚える。
――ベットの上。
はっきりしない頭で、自分の今いる場所をぼんやりと理解した。
「気づいたか?」
目覚めたばかりで、半ば意識がぼんやりとするセシリアの耳に、聞き慣れた男性の声が届く。
「真行寺、さん……?」
声の方向に頭を向けると、そこにはさっきまで自分と戦いながら空を舞っていた修夜が居た。
ISスーツを着たままの元対戦相手は、顔を向けた自分に少しだけ安堵の表情を浮かべ、小さなパイプ椅子に腰かけていた。
少し辺りを見回せば、修夜の背後に薬品が収まった棚などが見えたため、先ほどのにおいと合わせて自分の居場所を察した。
「……保健室」
とりあえず、口に出してみる。
「あぁ、そうだ」
それに対し、修夜は少し控えめな声で同意する。
「わたくしは、一体……?」
身体を起こし、まだぼんやりとしている頭を使って、少しずつ思い出そうとするセシリア。
修夜は思わず大丈夫かと体を前に出してきたが、セシリアは片手をわずかに出して修夜を無言で制止し、僅かにうなずいた。
そしてまだ少し眩むのか、顔をしかめてそれを両手で覆った。その所作にさえ、どこか気品が漂う。
「確かピットルームへと帰還した後に、急に眩暈に襲われて……それから……」
憶えていることを、ゆっくりと頭の引き出しから出して確認していく。
「そう、そこでアンタはそのまま気絶して、ここに運ばれたんだよ」
口に出して記憶を追うセシリアに、修夜はそう続けた。
「でも何故、わたくしは……」
自分が倒れた理由を探して悩むセシリアを見て、修夜がまた口を開く。
「ビットの長時間使用と、試合中の緊張による精神的な過労だそうだ。しばらく安静にしてれば、体調も回復するってさ」
それを聞くと、少女は自分に告げられたことを、自分で小さく何度かつぶやき、それから顔を手で覆って溜息を吐いた。
「そう…、そうですか……」
ようやく頭が動きはじめたのか、セシリアは自分の現状を少しずつ理解していった。
すると、もう一つ重要なことが抜け降りていることを思い出し、ハッとなって顔を上げる。
「あのっ、それじゃ、織斑さんとの試合は……!?」
それは、今の彼女にとっては特筆事項であった。

“一夏との試合がまだ残ってるだろ”

折れそうになった気持ちを立て直してくれた、あの言葉に報いなければ――。思わず、そんな感覚にとらわれた。
しかし、訊かれた言葉の主は表
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ