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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十話『強き者(スルーズ)』
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くなっていた。
“俺に対しての謝罪”限定で、だが……。
だから言った。
「まだ謝るのは早いぜ?」
それを聞いたオルコットは、俺の方を向いて目を見開く。そしてどこか、不思議そうに俺の顔を覗いてきた。
「一夏との試合がまだ残ってるだろ、違うか…?」
目を丸くして驚くオルコット。
「…そ、そうでしたわね。……えぇ、そうですわね…」
まさか、忘れていたってわけじゃないだろうけど……。いや、この反応はもしや……。
そんな風に疑っている合間に、オルコット俺に背を向けた。振り返る一瞬、笑ったようなそうでないような……。
「では、あなたのおっしゃる通りに、次の試合で決めると致しましょう」
そう告げると、自分のピットルームへと帰還していった。
少し弱って見える気もするけど、多分インターバルを挟めば持ち直しているだろう。
《私たちも戻ろう、マスター。みんなが待っているよ》
オルコットの後ろ姿に気を取らているあいだになのか、シルフィはホログラフィーで具象化して、俺の顔の横を飛んでいた。
ホログラフィーだから羽は必要ないはずだが、拓海の肝入りでトンボのような薄い翅(はね)が背中に二対、せわしなく動いている。
「あぁ、そうしようか」
拓海、一夏、箒、千冬さん、あと山田先生に蒼羽技研のみんなも、そして――
「シルフィ」
俺はスグそこに居る相棒に声をかけた。
《なに、マスター?》
「今日はマジで助かった、ありがとうな」
ホントに、今日のMVPは間違いなくコイツだ。途中でドジ踏んだりしていたけど、最後の最後で俺を救ってくれた。
だから俺は、笑ってこう言おう――
「これからよろしく頼むぜ、相棒――!」
それを聞くと、シルフィは面食らったような顔をしていた。でもすぐに、いつもの笑顔で、いつもの明るい声が返ってきた。
《……うん! お疲れ様。 そして、今日からよろしくね、マスター!!》
さぁ、みんなの待つピットへ戻ろう。

――――

ピットルームに戻ると、みんなが温かく迎えてくれた――
……のは、ほんの数秒のあいだだけだった。
ピットには、画面をにらみながら焔立つ怒気を発する鬼神……否、メンテ神が鎮座していらっしゃった。
そばに居る山田先生は、もう涙目でいつ泣くか分からない状態だった。
一夏は自分のISをセットし終えて感覚を確かめているが、明後日の方向を向きながら青ざめている。
箒も箒で、一夏のセッティングの具合を心配するそぶりとは裏腹に、こっちに顔を向けようとしない。
あの千冬さんですら、背を向けて顔に手を当てていた。

なんと言うか、うん、――地獄だ。

「修夜〜」
メンテ神・拓海様からお呼びがかかる。
声のトーンはいつも以上に穏やかだった。むしろ、穏やか過ぎるくらいだった。
「……なんでございましょう
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