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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十話『強き者(スルーズ)』
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セシリアは、確かにあの自爆技を成功させた。だがあの一瞬、俺の身を守ろうとシルフィは行動を起こしていてくれた。
ミサイルビット炸裂の寸前、シルフィは撃ち尽くしたイーグルハンターを修夜の体の前に現出(セットアップ)し、それを咄嗟に盾として活用してくれたのだ。
人に無茶し過ぎだという割には、自分もしっかり大博打を打ってるだろうに……。
でも、その咄嗟の機転のおかげで俺は勝利を掴むことが出来た。アレが無けりゃ、負けていたのは確実に俺だ。
《勝ったね、マスター!》
「――あぁ、初戦からラスボスと戦っている気分だったけどな」
いやはや、女の子というのは本当にすごい生き物だよな……。
「そういえばシルフィ、シールドエネルギーの残量は…?」
《……聞きたい?》
……何故はぐらかした?
「一応、今の俺の実力の指標だからね。――で、どれだけだ?」
《…………5》
………………………………。
ヨシ、オレハニモキカナカッタゾ。
ソンナスサマジイコトニナッテタナンテ、キットアクノソシキノシワザニチガイナイ。
オノレ、●ル●ム!!
《マスター…、マスター……?!》
っと、いかんいかん…。
トラブル続きだったとはいえ、オルコットが強敵だったのは確かなことだ。
俺はソニックという“逆ハンデ付き”なのに、このザマ。
師匠が見たらなんと言うや…ら……
………………………………こっ……殺されるっっ…?!
《マスター…、もうマスターったらぁ!!》
「あっ、悪いわるい…」
とにかく、勝った。
形はどうあれ、記念すべきこの一戦を勝利で飾ることが出来た。
それと同時に、『真剣勝負』ってことがどういうことなのか、改めて思い知った気がする。
――舐めてかかって悪かったな、オルコット。
アンタの強さは、俺が思っていた以上に本物だ。
「……完敗ですわ」
……?!
その声に振り向くと、そこには煤けた顔のオルコットがいた。
「まさかそんな隠し玉を持っていたなんて、少し卑怯じゃございません…?」
眉間にわずかにしわを寄せながら、オルコットは俺に言った。
だがそこに、憤りや苛立ちというものは見られない。どこか落ちつきながらも……、何故か儚げに見えた。
「アンタも凄かったよ、お嬢様…」
それはどうも、とオルコットは短く切り返す。
態度こそさっきまでと変わらないが、何処となく嫌味っぽさは消えているように見えた。
「それで、お約束の方ですが……」
オルコットは、そう言って顔を少し俯きにして、視線を下に落とした。
そう、俺と一夏とオルコットの約束。
『俺たちが勝てば、オルコットが俺たちを見下したことを謝罪。俺たちが負ければ謝罪請求の撤廃』――
名目上はクラス代表を決定する試合だが、本題はむしろこっちだ。
――正直な話、俺そのことはどうでもよ
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