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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第八話『蒼空舞う風獅子の翼・後編』
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夜はセシリアの『底力』に驚きを隠せずにいた。
――――
(アレも通じませんでしたか……)
セシリアは猛然と攻めながら、次の一手を模索していた。
身体は勝利への執念で燃えたぎっている、なのに頭脳はいつになく冷えて冴えわたっていた。
(こんな感覚、本国で代表生候補の選抜のとき以来ですわ……)
そんな思いに駆られるも、すぐに倒すべき標的に意識を切り替える。
避けられれば、避けた方へと一閃。弾き返されれば、その勢いを利用してすばやくもう一閃。
イギリス本国で死ぬほど叩き込まれた剣術が、セシリアの動きを機敏に運ばせている。
(剣術はあまり好みではありませんが、もうこれ以上の手もありませんわ…!!)
そう思うや否や、セシリアは腕の構えをすばやく切り替える。
「……っ?!」
とっさに修夜は、次に何が来るのを察知して身構える。
「はああぁぁぁあっ!!!」
気合いとともセシリアのに繰り出しもの、それは
驟雨
(
しゅうう
)
のような乱れ突きだった。
西洋剣術の基本は『突き』である。
潤沢な鉄資源を利用して鉄板で覆われた鎧が発達した西洋において、敵の致命傷を与えるには鎧の隙間を縫う刺突か、鎧すらへこませる打撃かのどちらかであった。ゆえに西洋では、剣のでの攻撃は鎧の下の
鎖帷子
(
くさりかたびら
)
さえ貫く鋭い『突き』が一般化していった。
突き専門の刀剣であるレイピアや、フェンシングの動作は、こうした西洋剣術の在り方をよく示したものである。
一閃でも多くダメージを――。的確で鋭い突きの雨を、セシリアは修夜に目がけて降らせ続ける。
――――
怒涛の突きを紙一重でかわしつつ、修夜は反撃の糸口を探っていた。
修夜がその気になれば、セシリアの突きの嵐を止めることは可能である。それどころか、その一瞬を突いて勝負を決めることもできるであろう。
それが出来ないのは、それをさせてくれる隙や緩みを、セシリアから見ることができないからである。
(ったく、どういう気迫と精神力だよ、コイツ……!?)
ここで言う隙とは、技量的なものではなく『気合い』や『迫力』といったものである。
修夜は認めたくないと思いつつも、自分が現時点ではセシリアに『気迫負け』していることを実感していた。
思い切って切り込み、一気に勝負を決めるか。
そう思ったが、次の瞬間に修夜の脳裏によぎったのは、“ビーム及びミサイルビットによる近距離制圧”だった。
普通は斬り合うほどの至近距離なら、そんな暴挙に出ると自分もダメージを追う。最悪の場合は自爆して終了だ。
だが今のセシリアを見ていると、そんな自爆の危険など躊躇せずに勝ちを拾いに来るのではと、修夜は警戒せざるを得なかった。
だからと言って、このまま至近距離で張り付かれていては身動きもとれない。
修夜のシールドエネルギーの
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