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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第八話『蒼空舞う風獅子の翼・後編』
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めて同時に使えれば……!!)
セシリアは内心で歯がみした。
それは今まで力を隠して自分を翻弄している修夜に対してではなく、スターライトmkVとブルー・ティアーズを同時に扱えない自分の不甲斐なさに対してである。
重ね重ね言うが、セシリアは学園新入生の中でも特に秀でたIS操縦者である。決して自分の才能に慢心して己を磨くことを怠った温室育ちではない、確かな努力の積み重ねを経て「今」に至っている。
その彼女にとって、エアリオル・ソニックを操縦する修夜は、今までの自分では通用しえない『規格外の相手』なのだ。
(早く……、早く、向こうが自分の『迅さ』に慣れてしまう前に――!!)

――――

上空1000mの愉悦から帰還した俺は、相手の弾幕に続き別の難敵と対峙していた。
「シルフィ、どうだ?」
《う〜〜ん、もうちょっとかかるかも……》
エアリオル=ソニックは、俺の求める『勝利の確信』を確かにもたらした。
もたらしたは良いが、肝心の迅さが“足り過ぎ”ているのだ。
「まったく、本当ならもう決着をつけておきたかったんだけど……」
《だからそれは、ごめん……ってマスター、左舷前方からブルー・ティアーズのビット攻撃がっ?!》
シルフィからの警告を受け、俺はすかさず回避の態勢に入る。
セシリアからの攻撃を回避するうちに、加速の緩急自体には徐々に慣れてきた。だがどういうことか、ときおり加速が急激に上がって急停止が効かずに飛び過ぎてしまう。
シルフィ曰く、量子転換(インストール)急いだ代償として、試合には急いで必要のないであろうデータをいくつか圧縮したままにしたらしく、その中によりもよって『PIC』とバーニアの連携に係わるデータも混ぜてしまったのだという。
PICとは『パッシブ・イナーシャル・キャンセラー』というISの機能の一つである。
拓海曰く、この宇宙に生きている以上は自由な動きが制限されるらしい。それは電車に立ち乗りすると、ブレーキやカーブで体が振り回されることと関係しているのだとか。手っ取り早く言えば、『PIS』は世の中に作用しているこの力――“慣性”を極限まで抑え込み、操縦者の負担の軽減とISの自由な動きを実現する装置だ。
そんな大事なものを、何故雑多なデータと混ぜたと問いただすと、シルフィはバツが悪そうに「なんとなく」とぼそりと返した。
当然ながら、それを聞いた俺は言葉を失い、シルフィはあっさり終わるものだと思っていたと言い訳しつつ、盛大に謝罪しながらデータの解答作業を開始して、現在に至る。
迅さを武器に、オルコットの死角へイーグルハンターを撃ち込むことはできる。だがこれが通用したのもはじめのうちだけで、今さっき打ち込んだ弾丸は寸前で回避され、空を切っていった。
(オルコットのヤツも、ここに来てギリギリで俺の攻撃をかわすよう
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