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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第八話『蒼空舞う風獅子の翼・後編』
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よ」
拓海の言葉に、一同は再びピット内のモニターに目を移した。
――――
アリーナ・スタジアムの戦い――。
セシリア・オルコットは焦っていた。
さっきまで手心を加えていたぐらいの相手が、もはや自分の理解の範疇を超えた存在と化していたのだ。
自分は野良犬か野良猫を追い払っているぐらいだったはず。それがいつの間にか、“風そのものに化けるモンスター”と対峙しているようなそんな気さえ起こしていた。
(なんて……なんて
迅さ
(
はやさ
)
ですの……!?)
『迅い』。英語にどれぐらいの速さの概念があるかは分からない。だか平素は“速い”とするところを、セシリアの気分を拾えばもはやその文字は当てはまっていないのである。
ときに凄まじく速いことを“疾風迅雷”と言い表すが、学園新入生でも最高のIS操縦者と目されるこの少女を以ってして、エアリオル・ソニックの速度は尋常ではないのである。
たしか小さい頃に、本で『マンティコア』とかいう風のように速く飛べるライオンの怪物のことを読んだことがあると、彼女の脳裏に遠く朧げな記憶が甦る。
修夜が上空から復帰して以降、その戦況は完全に逆転した。
初撃は修夜のイーグルハンターによる垂直降下での強襲射撃、それを直感でセシリアは回避するも、そこから完全に修夜のペースに呑まれていった。
スターライトのレーザーは、発射と同時に射線から修夜が消えるため当たらない。ブルー・ティアーズのビット攻撃も、取り囲んだ瞬間に上空へとすぐさま抜けられてしまう。
絶えず攻撃を繰り出し、持ち前の機動力で撹乱することで、どうにかイーグルハンターの有効射程には捉えられてはいないものの、それでも修夜は隙をついて接近してセシリアのシールドエネルギーを着実に削っていった。
セシリアの現在のシールドエネルギー、現在234ポイント。
中距離での機動戦を得意とするものは、常に動きながら一撃離脱やヒットアンドアウェーで翻弄するのが定石である。特にブルー・ティアーズのようなビット兵器を搭載したものは、ビットによる包囲攻撃で相手を封殺し、その隙をついて高火力の砲撃を見舞うのが一番効率が良い戦術だ。セシリアの今の兵装は、まさにこの攻撃を理想として構成されている。
しかしこれは同時に致命的だった。
修夜が見抜いたセシリアの弱点――『ブルー・ティアーズのビットはセシリアの命令がなければ動かない』、『セシリアも制御に意識を集中するためそれ以外の攻撃が出来ない』、この二つの欠点が驚異的な速度を誇るエアリオル=ソニックを捉えることに対して、完全に足枷となっていた。まして風のように動き回る修夜を捉えようとすることは、相当な精神集中を必要とする。
セシリアはシールドエネルギーが示す数値以上に、精神的な疲労に襲われていた。
(ブルー・ティアーズとスターライトを、せ
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