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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第八話『蒼空舞う風獅子の翼・後編』
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いったい何なのだ…?」
ここにおいても、やはり思考の復旧が一番早いのは千冬だった。伊達にIS学園という特異な環境で、何年も教師を務めてはいないようだ。
「何時も通りに『拓海』で構いませんよ、千冬さん。……あっ、ここは公式な場だから、その方が良いですよね。すみません」
千冬に言葉を投げかけられた拓海は、依然として画面を見ながら彼女に答える。
「いや、それは別にいい……。それよりも……」
「エアリオルの『変形』についてですよね、アレは【
ABSL
(
アセンブル
)
システム】と呼ばれるエアリオルの“固有機能”ですよ」
ここに来て拓海は、聞き慣れない“不思議現象の正体”について語りはじめる。
「固有……、『
単一仕様能力
(
ワンオフ・アビリティー
)
』のことか?」
単一仕様能力
(
ワンオフ・アビリティー
)
――、それは各ISが操縦者と最高状態の相性になったときに自然発生する能力である。
能力の発現には、まずISが
第二次移行
(
セカンドシフト
)
、つまり操縦者とISの一体化が一段階促進された状態になる必要がある。次に
第二形態
(
セカンド・フォーム
)
になる、要するにISそのものが一段階進化した形態へと変化することである。これら二つの条件を満たした状態でのみ、ISは自分を扱うその操縦者の能力をより強く発揮させるために、新たな力を発現させるのである。それが『
単一仕様特殊能力
(
ワンオフ・アビリティー
)
』と呼ばれるものである。
無論、その力を得るには並ではない苦労と経験が必要となる。そのISを理解し、そのISに愛された者だけが見いだせる、新たな可能性の境地なのである。
「あ〜、確かに言葉は似てますけど、それとは全然違いますね。そもそもエアリオルの『
単一仕様能力
(
ワンオフ・アビリティー
)
』はもっと別のものを“考えて”いますし……」
千冬の回答に対し、まるでクイズに外れたかのような言い方をする拓海。そんな受け答え中でも、拓海は修夜のカッ飛んで行った映像を何度も見直して何かの計算を打ち出している。
「じゃあ、あれはただの『
第二形態
(
セカンド・フォーム
)
』なんですか?」
ここに来て真耶をはじめ、残りの三人が落ち着きを取り戻す。
「それもハズレですね。……というか、エアリオルはそもそも『
第二形態
(
セカンド・フォーム
)
』にすら行き着いてはいないんですから」
自分の知ることを淡々と語る拓海。
「簡単にいえば、アレは
拡張領域
(
バススロット
)
による
後付装備
(
イコライザ
)
の換装の応用のようなものです」
「…なんだと……?」
ISには、物体を量子化して電脳空間に保管する機能が存在する。ただの装身具が厳めしい金属パーツを発生させ、人にそのパーツを装着させるのもこの超技術の賜物である。量子化とは、もろもろ噛み砕いて言えば物体を電算データに変化することだ。SF作品で人
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