第12話「京都―初戦」
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息を忘れた。
朝とは違う。殺気に溢れているとか、そういう次元の類ではない。もはや鋭い刃物を首に突きつけられているような感触。それでいて殺気とかそういった危険な空気は出ていない。
無色の感情から感じる本当の恐怖。
「待たせた」
それだけ言い、向きを敵の女性に変えた。今度はその恐怖を敵が感じる番だった。
「なるほど、お前が俺の敵だな」
「ぐ……ぬ……ふ……フン!」
タケルに睨まれた女性は恐怖にその身を震わせつつ、精一杯な虚勢と共に術を放る。
「喰らいはなれ、3枚符術 京都大文字焼き」
刹那の眼前で大きな炎が舞い上がり、その行く手を阻む。
「た、タケルさん!?」
後ろにいてまだ余裕があったネギは、タケルがその炎に直接巻き込まれたことを見て、悲鳴のような声をあげた。
そのネギの声に千草は愉快そうに言う。
「目障りな位置にいたんでつい焼き払ってしまいしたえ」
「きっさま〜〜!!」
「あんた……!」
「た、タケルさん……」
怒りを見せる2人の女性徒と今にも崩れ落ちそうなネギ。
「ホホホホ」
と敵にありがちな笑い声をあげたときだった。
「随分とご機嫌だな……」
炎を裂き、闇をも呑み込み、空気さえ引き込んで。
タケルの声が小さく、だが確かに響いた。
「タケルさん!!」
ネギを筆頭に女子達が喜びの声を上げ、無事にホッと胸をなでおろす。だが、それはタケルの仲間だからこそだ。術をまともに受けて全くの無傷など、敵からすれば恐怖でしかない。
「な、ななな……?」
錯乱しかけている敵に、タケルは淡々と呟く。
「電車の中で蛙騒動を起こし、俺の睡眠を邪魔したのが、お前だ……」
「へ?」
――何を?
千草は首をかしげるが、ただ立っているタケルを見とめて「ひ」と悲鳴を上げた。
「燕で俺の安眠を妨げたもの、お前……」
ぼそぼそと呟いているせいか、後ろのネギたちには聞こえていないのだろう。よくわからない顔でジッと見ている。
「近衛さんを連れ去って俺の風呂を邪魔したのも……お前」
タケルは誰もが初めて見るその武器らしき存在を右手に掲げて言い放つ。
「今すぐに近衛さんを解放するか、死ぬか。好きなほうを選べ」
これが本当の殺気だろうか。ネギもアスナも、仕事に慣れている刹那でさえもが息苦しくなる。直接向けられたらそれこそ気を失ってしまうのではないかと思われるほどのソレだった。
「な……はっ。何をアホなことを。ウチがそう簡単に――」
――ドン。
女性の声を遮るように、彼女の数センチ手前に大きな穴が開いた。
「「「「「……は?」」」」」
誰もがみな目
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