第12話「京都―初戦」
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そのためには近衛木乃香の拉致、そして関東魔法協会から関西呪術協会へ送られる親書の奪取。この2点が大事だった。
そのために色々と下準備はやったし、神鳴流の剣士も護衛に雇った。魔法使いの教師がネギという10歳の子供だということも調べはついていた。だが、一人、彼女の心を悩ませる存在がいた。
それが――。
――あの高校生、誰や?
一人、奇妙な人間がいた。最初は部外者の高校生と思って見向きもしなかったのだが、先生たちと肩を並べて、女子生徒たちの真ん中に堂々と立っていることから部外者ではないことがわかる。
ただ、そうなると彼の立場がわからなくなる。
生徒はありえない。何せ性別が違う。
――教師なわけもないし……まさか、木乃香お嬢様の護衛? ……どっかで計画が漏れたんか?いや、そんなはずは。
突然、その高校生が身じろぎをし、そして
「――っ!?」
身の毛もよだつような殺気が彼女を襲った。
足が地面に張り付いて動かない。背筋が震えて冷や汗が垂れる。呼吸することすら忘れるほどの悪寒。
不意に、生徒達と教師そして問題の高校生が移動を始め、その寒気から開放された。
「……はぁ、はぁ」
柱に体を預ける。そうでなければ立っていることすら出来そうになかった。
――あ、あほな……ウチが気圧された?
震える足を引きずって新幹線の中に移動する。
「どうやら思ってたより難しい仕事になりそうやな」
彼女の呟きはもちろん、雑踏にかき消された。
3−Aの女性徒たちは考え事に没頭しているように見えるタケルを動かそうとしていた。柱にもたれかかったまま目を閉じている彼は、誰になんと呼ばれようと動く前兆すら見せない。
本当は寝ているだけだったりするのだが、まさか突っ立ったまま寝ているとは誰も思っていない。
「……せ、せんせい?」
「先輩〜〜?」
最早これで何度目だろうか。それでも動かない。
「た、タケルさん?」
もちろん、ネギの声でも同じことだ。
「だったら私に任せるアル」
クー・フェイが力づくで無理やり、と構えをとる。
「いやー、止めた方が」と制止するネギの遠慮がちな声にも耳を貸さず、拳を放とうとして、「「止めた方がいい(でござる)」」長瀬と竜宮に止められた。
まさかの2人にダブルでストップをかけられたクーは困った顔で拳を収めて「だったらどうやって動いてもらうアル?」と口を尖らせたが、すぐに何かを思い出したのか、意地悪な笑顔で長瀬を肘でつついた。
クーの意図が読めず、長瀬が首を傾げる。
「ふっふっふ、愛しのお姫様の声なら動いてくれるんじゃないアルか?」
「なっ!?
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